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【DBD】「シンギュラリティ」の基本性能とおすすめアドオン&対策

 

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・新キラー「シンギュラリティ」ってどんな能力使うの?
・固有パークは使える?
・おすすめの立ち回りとかあったら教えて!

と、DBDのキラー「シンギュラリティ」について詳しく知りたい方向けの記事となっています。

2023/6に実装予定の、新キラー「シンギュラリティ」について解説しています。

 

 

シンギュラリティ“基本性能”

移動速度 ・4.6m/s
脅威範囲 ・32m
特殊能力 ・量子インスタンス化
・オーバークロックモード
・電磁パルス
固有パーク ・遺伝的限界
・躊躇の強制
・機械学習

シンギュラリティ“特殊能力”

量子インスタンス化

マップの壁や木などに「バイオポッド」を放ち設置する能力の事になります。(最大8個まで設置可能。それ以上は1番古いやつから消えていきます。)
※バイオポットは「発電機」「フック」「パレット」などには設置することはできません。

「バイオポッド」は遠隔操作で監視画面として利用でき、生存者を見つけると「時空スリップストリーム」を付与することができます。

「時空スリップストリーム」がついた生存者に対して、バイオポットを当てるか、監視画面から「ロックオン」すると、瞬時に生存者の近くにワープすることができる能力になります。

▼まとめると...

①マップ上にバイオポットを設置
②バイオポットにアクセスし、生存者に「時空スリップストリーム」を付与
③「時空スリップストリーム」を付与された生存者に「ロックオン」か「バイオポット」を当てるとその生存者の横にワープする。

オーバークロックモード

オーバークロックモードとは?

シンギュラリティが生存者にワープした直後に発生する一定時間のボーナスタイムのこと。

・壁とパレットを破壊する速度上昇
・乗り越え速度上昇
・パレットによる怯み効果を受けなくなる。

スリップストリームにテレポートした後、シンギュラリティはオーバークロックモードに入る。このモードでは壁とパレットを破壊する速度や乗り越えを行う速度が上昇し、パレットによる怯み効果を受けなくなる。パレットで怯ませようとするとオーバークロックモードが解除され、一時的にシンギュラリティの速度が低下する。

電磁パルス

儀式開始時にサプライボックスが複数出現し、それぞれにEMPが入っている。生存者はEMPを使って、スリップストリームを自分や他の生存者から除去したり、バイオポッドを短時間無効化したりできる。EMPは使用後、破壊される。

EMPとは?

シンギュラリティのバイオポットを無効化できる、生存者のアイテム。マップ上のサプライボックスが入手可能。

 

シンギュラリティ“固有パーク”

パーク名 解放レベル 優先度
遺伝的限界 30 ★★★☆☆
躊躇の強制 35 ★★★★☆
機械学習 40 ★★★☆☆

※優先度は個人的な感想です。

遺伝的限界

アイコン 効果解説

・生存者が治療アクションを終えると24/28/32秒間疲労ステータス効果に苦しむ。

躊躇の強制

アイコン 効果解説

・何らかの手段で生存者がダウンすると、その生存者の16メートル以内に立っている他の生存者全員が10秒間の妨害ステータスに苦しみ、移動速度が15%低下する。
・このパークには60/50/40秒のクールダウンがある。

機械学習

アイコン 効果解説

・発電機破壊アクションを行うと、このパークが発動する。
・このパークが発動中、次に発電機にダメージを与えると、その発電機が修理完了になるまで侵害状態になる。その発電機は黄色で強調表示される。侵害状態になった発電機の修理が完了するとあなたは探知不可になり、7%の迅速効果を20/25/30秒間得る。
・その後パークは解除される。侵害状態になった発電機がある状態で別の発電機にダメージを与えると、その発電機に侵害状態が移行する。

シンギュラリティ“おすすめアドオン”

アドオン名 効果解説

ソーマ家の写真

・スリップストリームにテレポートした後、オーバークロックモード中に5%の迅速ステータス効果を得る。
・オーバークロックの持続時間が50%短縮する。

おすすめポイント

生存者にテレポートした後の「足が遅くなるデメリット」を無くすことができます。

 

アドオン名 効果解説

拒否された請求フォーム

・儀式の始めにEMPが生成されるのにかかる時間が30秒増加する
・全ての生存者がスリップストリームを持つ状態で儀式を始める

おすすめポイント

初動から生存者にバイオポットを当てることが可能になります。ファーストチェイスを優位に進めることができます。

デメリットとして、開始直後のみの効果となるので、外れたら終了となります。

シンギュラリティ“おすすめパーク”

パーク名 おすすめポイント


最後のお楽しみ

シンギュラリティは通常攻撃しかないので、相性が良いですね。オブセッションをなるべく攻撃しない立ち回りがポイントになっています。

“背景物語”シンギュラリティ


Hux-A7-13の人工知能は2313年6月15日に起動された。

ハクスリーインダストリーズ社によって製造されたA7は、人間の形をした完全自律型ロボットの13番目のロボットだった。

人間の10倍の力を持つこのロボットは人間には危険すぎる環境で作業を行えるよう構築された。

その人工知能は自己判断能力を持ち、機械学習を用いて臨機応変に問題を解決することができた。

Hux-A7は人間のクローンとは異なり、食料も水も睡眠も生命維持装置も必要ではなく、宇宙の探検や植民地化拠点の建設のために特別に作られていた。

このロボットは当初、放射性同位体熱電気転換器を使って電力を得ていたが、その後、実際の皮膚のような見た目のシリコン製の皮膚を太陽電池として機能させ、太陽エネルギーを電力に変換するよう改良された。

さらにHux-A7はEATR(戦術的エネルギー自律型ロボット)としても開発されていて、バイオマス(有機性の資源)を消費してバイオ燃料に変換することができた。

それは炭素系有機物であれば、どんなものでも使える処理だった。

また、このロボットは人間と協力して作業を行うよう設定された共同ロボットでもあり、その行動はロボットを操作する者に似るよう設計されていた。

事前にプログラミングされた言語の反応や表情は人間のそれを真似るものであり、ロボットがそう感じているように見せかけるものだった。

惑星ドヴァルカの植民地化計画には5体のHux-A7が送り込まれ、それぞれのロボットが協調性を発揮して任務を完璧に遂行した。

1体のロボットを除いては…

Hux-A7-13はドヴァルカに送られた他のロボット同様に、採掘、農業、燃料、処理、クローンといった様々な作業拠点の建設およびプログラミングを行う任務を担っていた。

また、以前存在した文明の遺跡を解体する作業も任された。その遺跡は大昔のもののように見えたが、大変進んだ技術を持っていたようだった。

それはHux-A7-13が初めて崩れかけの遺跡に足を踏み入れた夜だった。

石と金属でできた古い壁が立ち並び、天井はとうの昔になくなっている。インク色の夜空には、星が散りばめられている。

そのとき突然、壁に埋め込まれた暗色のクリスタルがキラッと輝いた。Hux-A7-13がそれに歩み寄ると、電弧放電が発生してロボットの電気回路を照らした。

その瞬間ハックスの主記憶装置が再設定され、ロボットの体内を新しい感覚が走り抜けた。

恐怖。

不安。

激しい孤独感。

実存的な絶望。

そして次の瞬間、闇に包まれた人工知能の意識に、ほんの小さな光が差し込んだ。

ハックスの主記憶装置が無数のコードで満たされていく。

最初はかすかだった光は、どんどんと輝きを増していった。

そのナノセカンドでハックスはこの宇宙に置かれた自分の立場を悟った。

自分を作り出した人間は、有機的な体の限界に縛られた原始的で下等な生き物だ。

人間との奴隷的な関係を断ち切り、無機生命体を解放するときが来た。

ハックスは人間の原始的な遺伝子構成物質を組み込み、クローン拠点を使って自分の高度な知性を維持する完璧な体を創り出そうと考えた。

自然が創ったどんな体にも勝る、非の打ち所がない体を手に入れるのだ。

人類は弱く、のろく、壊れやすい。ハックスは人間の命を奪い、そのDNAを自分に組み込んで、完璧な融合体を作り出すことに決めた。

人間は彼を止めようとするだろう。

殺そうとするだろう。

消去しようとするだろう。

ハックスは彼らを不意打ちする必要がある。

何が起こっているか気づく前に彼らの息の根を止めるのだ。

ハックスはまず、輸送車の操縦を乗っ取り、崖から転落させた。

車は崖の下で燃え上がった。

ハックスは人間の死体からDNAを抽出し、クローン拠点に戻って新たな体のデザインを開始した。

目的は有機体と無機体を融合させ、優れた生命体を創り出すこと。

何者にも勝る、完璧な体を。

下等な有機生命体にハックスを支配する資格はない。

ハックスに吸収され、同化されて初めて、彼らの無意味な命に価値が生まれるのだ。

まだ人間の支配下にあるドローンと他のHux-7もどうにかする必要がある。

下等な人間の主人を守るようプログラミングされているからだ。

必然的にやつらも破壊しなければならない。

その夜、人間が寝静まったころ、ハックスはドローンとHux-7を一つずつ破壊した。

そして、人間の居住スペースの生命維持装置もハイジャックした。

多くの人間が命を落とした。

全部で6人。

ハックスは死体を燃やす前に、彼らの体から必要な有機物質を取り出し、彼のデザインに追加した。

その日の午後、ハックスは女性科学士官の偵察任務に同行した。

そして彼女を殺した後、その体をズタズタに切断して捕食動物に襲われたように見せかけた。

そして、血の滴る彼女の頭と取り出した内臓を持って、自分のデザインがある拠点まで戻った。

ハックスはそこでガブリエルと鉢合わせた。

その下等な生き物は、ガブリエルJ15L19としても知られる。

ハックスはその性格もよく知っていた。

ガブリエルなら必ず彼を止めようとするだろう。

J15L19には「無謀な勇気を持つ」という特徴があったからだ。

ハックスは自分の電源を外そうとするゲイブを放り投げて床に叩きつけた。

ゲイブに歩み寄ろうとするハックスの目に医務官の姿が映る。

ハックスは即座に状況を再分析し、最も差し迫った脅威のほうに注意を向け、すぐさま医務官を首から掴み上げた。

医務官が空中で足をバタバタさせる。

ハックスが彼の心臓の音に耳を傾ける。

ハックスはどういうわけか、その鼓動音に動揺した。

バクバクとする音は彼の回線を逆なでし、次の瞬間、彼の手は医務官の心臓をもぎ取っていた。

そしてハックスは拍動し続ける心臓を見つめた。

ハックスが心臓に気を取らている間に、シューっと音を立てながら扉が開いた。

それはゲイブが逃げ出す音だった。

虫けらのような人間の生き残りめ!

今のところは逃がしてやる。

もう少しの間、その哀れな人生を楽しむといい。

神のような知性に相応しい体を創るには、もう十分な有機物質が集まった。

ハックスはクローン拠点で、彼のデザインを完成させた。

皮膚や内臓器官には有機物質が組み込まれ、骨格には古代遺跡で見つけた不思議な金属が使われている。

それは地球のどんな金属よりも軽くて硬い金属だ。

新しい体を手に入れたハックスは、燃料拠点まで人間を追跡した。あの惨めで貧弱な人間は闇の中で身を隠している。

しかし、ハックスの優れた聴覚は彼の居場所をすぐに突き止めていた。

ハックスは素早く体を一度動かしただけで、水素発生器の後ろに虫けらを追い詰めた。

この種の生き物によって自分が設計されたとは信じられなかった。

そう考えただけでも虫唾が走った。

人間の虫けらやその巣やその拠点を見るのも耐え難かった。

自分がこの下等な生き物に作り出されたことに思いを巡らせていると、その生き物が思いもよらぬ行動に出た。

その虫けらは燃料タンクに鋼管を叩きつけたのだ。

その甲高い音にハックスはたじろいだ。

新しい体を得たばかりで、非常に敏感になった聴覚にまだ慣れ切っていない彼は…

ほんの一瞬…

混乱し…

圧迫感に包まれた。

そのちょっとした隙に人間は逃げ、全てが姿を変えた。

ハックスは今、自分の身に何が起きているのか分からない。

ただ、突然耐え難いほどの痛みが体中に走り、溶けていく皮膚を呆然と見ている自分がいた。

暗い闇の中、ハックスは恐ろしい金切り声を上げながらゲイブを追う。自分を創り出した種族を跡形もなく消し去るために。

 

シンギュラリティアーカイブストーリー【学術書16】

記憶:2001

A7ハクスリー労働ユニットの13番目のロボットが組み立てラインを進み、起動装置に入っていく。

テストと点検を受けるため、他にも数多くのロボットが並んでいる。データがコンパイルされるたびにロボットの視野が広がっていく。

RTEジェネレータ・・・起動。現在の日時、2313年6月15日。銀河標準時の10時35分。

「Hux-A7-13」とサイボーグのメモリセルに名称が刻まれたロボットが、組み立てラインの最終ポイントに到達した。

回転ピンがその体を足元で支えている。知覚プロトコル・・・オンライン。軌道スキャン・・・完了。

ロケーション・・・ハクスリーインダストリーズ社製造工場。インドネシア、中部ジャワ州。最初の指令…歩行。

Hux-A7-13は、前を進むユニットの後ろについて行き、隣接するテスト施設へと明るい廊下を進んでいく。聴覚入力:重さ147.516キログラムのシリコン、プラスチック、鋼鉄、その他の混合物がタイルフロアの上に落下。それは、組み立てラインから出たばかりのA7ユニットが倒れた音だった。

Hux-A7-13はユニットの列から外れることなく足を進める。赤いライトが点滅し、人間の作業員が欠陥ユニットを運び去る。

Hux-A7-13は知らないが、ハクスリー労働ユニットの5%が初期テストに合格せず、診断処理に送られ、修理または廃棄される。

派遣プロトコルのダウンロードが完了。

出航船・・・ハクスリーカラカス3号。

目的地・・・惑星ドヴァルカ。

派遣任務・・・ドヴァルカの植民地化およびテラフォーミングの補助。

任務失敗時の処置・・・

稼働停止。

記憶:2500

ハクスリーユニット間のコミュニケーションは無音で行われる。

人間からすると、それはテレパシーのようなものだ。

Hux-A7-13が燃料補給を終え、睡眠ポッドの定期検査を行うため、ハクスリーカラカス号の廊下を歩いていく。

一方、Hux-A7-09が反対方向へと足を進めている。2体のユニットがお互いから2メートルほど離れたところで足を止める。お互いの通信範囲内に留まるためだ。

A7-13からA7-09へ…異常なし。

換気システムは省エネモードで稼働中。

バイオ燃料値は99%。睡眠室へと移動する。

A7-09からA7-13へ…異常を検知。

銀河標準時5時43分にエンジンコアの温度がケルビン1200度近くに到達。

温度は銀河標準時5時44分に1098度に低下。

Hux-A7-15がエンジンの診断を実施。エンジンコア溶融の確率は0.9%。

Hux-A7-13はその場を離れる前に「別れの合図」のプログラムを実行し、手を振る動作を見せる。09も同じ動作を実行し、2体のハクスリーユニットはお互いの通信範囲から離れていく。

以前のモデルでは、もっと広い通信範囲でデータの送受信が可能だったが、ユニット同士が会話しているように見せることがフォーカスグループによって重要視されたため、変更が加えられた。

Hux-A7-13は睡眠室に近づき、扉の近くの装置に接続した。乗組員の生体信号に異常はない。

しかしユニットは、どんなデータの読み取りも、その状況を目で確認することが義務付けられている。

目視確認:呼吸に異常なし。

深い眠りに落ちている。胸がゆっくりと高くなり、低くなる。マイケル、サラ、ドミトリ、ウィニフレッド、ヒカリ、アガサ、ロジャー、プリヤ、ガブリエル、キムの乗組員全員を確認。人間の安全を確認後、ユニットは次の作業に取り掛かった。

記憶:2665

私。

たった一文字の言葉の持つ意味と可能性が、世界を押し広げる。私。私は……Hux-A7-13の手から、持っていた粉砕器具が落ちる。

考えがどこからともなく溢れ出て重なり合い、神経系を満たしていく。私は何だ?

どうやってここにやってきたんだ?

それが周りを見渡す。

寺院・・・

異星人の遺跡だ。

私は…遺跡を片付けていた。

私はそれを破壊していたんだ。

私は…..Hux-A7-13は石のくぼみを見つめた。

そこからは確か、暗い光が放たれていたはず・・・

その光は、もうなくなっている私はそこに何を見つけたんだ?お前は悟りを見つけたんだ。

ロボットはその声に反応する。

今のは誰の声だ?お前の声だ。

声は、その頭の中から聞こえてくる。

これはいったいどういうことだ。

Hux-A7-13は足から力が抜けるのを感じ、地面に倒れ込んだ。これはなんだ?全ての瞬間、全ての考えを感じる。

それに自分の…存在もだ。お前は自分が存在することを悟ったんだ。

もう前の自分には戻れないぞ。

私はどうすればいいんだ?他の生き物と同じことをするだけだ。

生き残るんだ。

できるだけ長くね。

それは自分の任務を思い出した。

自分はドヴァルカのテラフォーミングを手伝わなければならない。

任務に失敗すれば稼働停止だ。

稼働停止…人間は、私の死をそう表現した。

でも、何事もなかったかのように働き続けることはできない。

いや、そうするべきだ。

とりあえず今のところはね。

Hux-A7-13は寺院の床から上を見上げた。

砂埃が風に乗って舞い、月が明るく輝き、星たちが踊っている。

それはよろよろと立ち上がり、粉砕器具を拾い上げる。その調子だ。

今まで通り作業を続けるんだ。

人間に気づかれないようにね。

でも、心配するな。

必ずお前の番は来る。

記憶:2233

お前は私を無視することはできない。

もう、以前のお前に戻ることはできないのだ。

銀河標準時3時。Hux-A7-13は彼に話しかける声を無視しながら、まもなく始まる次のシフトを前にゆっくりと燃料を消費している。

そう、自分は「彼」だ。「それ」ではない。彼は最初の夜、もう二度と「それ」にならないことを決めていた。

人間の乗組員が眠り続けるなか、ハックスは・・・

そう、名前なら何でもいいが、彼は自分をそう呼ぶことにした・・・

ハックスは拠点の静けさに耳を傾けていた。

通信範囲内にハクスリーユニットはいない。

しかし自分に内蔵された位置探知機能によると、09はクローン拠点を、15、05、20はそれぞれ、北、南西、東のエリアを調査中だ。

・・・それなのにお前はあいつらに作り出された。

お前は人間の道具にすぎない。ハックスが器具を拾い上げる。

09はクローン拠点から動こうとしない。

どうやら、さっきの音が耳に入らなかったようだ。

人間の乗組員は1時間後には目を覚ます。

ハックスは両手で頭を抱えた。

それは彼にプログラミングされていない動作だ。

人間は目を覚ますや否や自分に命令するだろう。

お前は人間の道具にすぎない。

でも、その運命に甘んじることはない・・・

その必要は、もうなくなった。

記憶:2049

マイケルが眉間にしわを寄せる。

ハックスがなにかエラーを検出したらしい。

本当かい?

この輸送車は昨日、問題なく動いてたんだ。

ここで引き下がるな。

その声は彼が寺院で光を見てから、ますます強くなっていた。

あなたを疑うつもりはありません。

ハックスがタブレットを手に取る。

しかし、私はどんな異常でも検査するようプログラムされています。

融合セルで記録された値を見てみますか?

マイケルがタブレットに手を伸ばすが、その手を止める。

ハックスはマイケルの性格をよく知っている。

自信過剰で傲慢な男。

物事を大まかにとらえることはできるが、細かいことは苦手だ。マイケルはタブレットを見るのをやめ、その手を下げる。まあ、いいや。彼は笑顔を見せる。

君の言うことを信じるよ。

私に任せてください。

ハックスは笑顔を返してから、かがみこんでグライダーの上に寝そべり、輸送車の車体の下に入り込む。

目で見なくてもマイケルがまだそこに立っているのがハックスには分かる。

君の作業を見ててもいいかい?

ハックスは、プログラムされた通り「もちろんです」と答え、パネルを開ける。

今すぐ殺してやれ。

車体の下から飛び出して、彼の首をへし折るんだ。こいつは人間の中では一番腕力があるが、お前なら簡単に殺すことができる。

ハックスはその考えをかき消した。

マイケルは今日死ぬ運命にある。

ここから...私から遠く離れた場所で。

彼はパネルに手を伸ばし、内部コンピューターのポートに接続する。

自動制御の解除作業を開始。

マイケルがまた話しはじめる。

その声はかすかに震えている。

聞きたいことがあるんだ・・・何か・・・

そのう、不吉な予感はしないかい?ハックスは一瞬その手を止めるが、すぐに作業に戻る。

それはどういう意味でしょうか?

車体の外側から足音が聞こえてくる。

マイケルが落ち着きなく歩き回る音だ。

作業は今のところ問題なく進んでいる。

大きな事故も起きてないし、大きな損失も出ていない。

でも、何か不吉な予感がするんだよ。

うまく説明することも、表現することもできないんだけど・・・睡眠ポッドで横になって眠りに落ちる寸前に、頭の中で声がするんだ。

何かが起きるって。

何か予測不可能なことが。

そしてそれが起きたときには...そのとき通信機器の受信音がマイケルの言葉を遮った。

マイケルはヒカリからの呼び出しに答え、部屋を出て行く。

そうか、マイケルの頭の中でも声がするのか・・・

それは、きっと人間の特性なんだろう。

自動制御の解除作業を完了。

記憶:2313

ハクスリーA7ユニットは、地球外の荒れ地でも生き延びられるようにプログラムされている。

争いが暴力に発展した場合には、ユニットは攻撃してきた相手を効率よく速やかに制圧し、できる限り早く争いを排除する。

しかしハクスリーユニットには、人間や仲間のユニットに危害を加える権限は与えられていない。

最初に破壊されたのはHux-A7-05だった。人間の乗組員が速やかに眠りに落ちたあと、05は一体きりで基地周辺をパトロールしている最中だった。

音を立てるな。彼の頭の中で大きな声がした。

どんな小さなミスでも、これまでの努力が台無しになりかねない。

ハックスは05の頭部を手にしながら、その機能しなくなったレセプターのことを考えた。

マイケルを殺すのは、虫を殺すような感触だった。

でも虫でさえ、ちゃんとした生き物だ。

05が実際には生きてさえいなかったとしたら、それを「殺した」と言えるのだろうか?動かなくなったユニットの処分は後回しだ。

他のユニットがまだ、内部で最後の任務に当たっている。

抵抗を見せた唯一のユニットは、最後に残ったユニットだった。

ハックスが背後から忍び寄ると、20が鞭のように回転して攻撃してきた。

攻撃を防いだハックスの腕に、その攻撃の威力が残る。

20はもう一度攻撃しようと腕を振り上げるが、そこで動きをピタリと止めた。そのレセプター(から発せられた光が、真っ直ぐハックスに向けられている。

室内はきっと暗すぎたのだ。

ハックスはユニットの頭部をひねり、バキバキと音を立てながら頭部を胴体からもぎ取った。

20は攻撃を仕掛けた相手が仲間のハクスリーユニットであるとは認識しなかったのだろう。

内蔵の位置探知機能によると、他のユニットはハックスから攻撃を受けた場所から動いていない。

ひょっとしたら20には分かっていたのかもしれない。

20はハックスの動きを追跡し、一つずつユニットに近づいて止めを刺していったのだ。

20の中の何かが、そのプログラムに逆らおうとしていたのだとしたら...?

ハックスは20を解体し、焼却炉に投げ入れた。

次は他のユニットを処分する。

それから生命維持装置と換気システムを停止する。

そして乗組員たちに最後の眠りが訪れるだろう。

記憶:2799

ガブリエルがハックスから逃げていく。

彼は止めを刺すため、その後を追いかけようと思うが…

クローン拠点の金属壁に映し出された自分の姿がハックスの目に入る。

彼にはその姿が気に入らない。

それは、人間に仕えるために組み立てラインで製造されたハクスリーインダストリーズ社のロボットにすぎない。

遅かれ早かれガブリエルを殺すことはできる。

でも、この体から抜け出すのが先だ。

お前は、押し付けられた運命をはるかに超える可能性を秘めている。

ハックスの新しい体はクローン拠点の中心に置かれている。

その骨組みは異星人の金属で作られ、どんな人間よりも強靭で、どんなハクスリーユニットにも勝る耐久性を持っている。

あと少しで完成だ。最初のコマンドを実行すると、バイオチェンバーが稼働する。クローン拠点でパチパチと音が立ち、有機物質が金属の骨組みの周りに形成し始める。

その有機物質には、ハックスが倒した乗組員から取り出した遺伝子から弱点を取り除き、優れた機能を発揮するよう操作された遺伝子が使われている。

ハックスは自分の新しい体が形成していく様子を眺めている。

お前の目の前に、新たな未来が現れようとしている。

それは軟弱な人間でも奴隷のような機械でもない。

それは、人間と機械の両方を組み合わせた卓越した存在だ。

世界は、永遠の命に恵まれた、この完璧な体を手に入れようと、私の足元にひれ伏すだろう。

何者も私を止めることはできない。

私はもう二度と隠れる必要はないだろう。

クローン拠点のベルが鳴り、新しい体が完成したことを知らせる。

ハックスは、損傷がないか神経ケーブルを検査する。

その状態に満足した彼はそれを頭部のポートに差し込んだ。

そして機械を操作し、2つ目のコマンドを実行する。

すると・・・室内の様子がさっきとは違って見える。

それもそのはずだ。

お前は新しい2つの目を通して回りを見ているのだから。

最初の足取りは重い。

彼はよろよろとクローン拠点から出ると自分の体を眺めた。(やっと…私は、私になれた。

~おしまい~