・ドラキュラについて知りたい!
・学術書21の物語を読みたい。
・アーカイブムービーも見たいな!
とDBDの学術書21で解放される、キラー「ドラキュラ」のアーカイブストーリーについて記載しています。
ドラキュラのアーカイブムービー「学術書21」
ドラキュラのアーカイブストーリー「学術書21」
記憶 5164
彼が彼女のことで最初に気づいたのは、その勇気だ。彼女は軍隊も盗賊も近づこうとしない、彼の城に足を踏み入れただけでなく、こうして彼と顔を突き合わせている。物乞いもせず、おびえもせず。ただ決然と助けを求めている。
「私の家まで足を運んで、頼みごと?この私に、奴らを助けてほしいのか?」
彼のお腹の底から音が鳴り出す。
それは彼が何年も、いや、おそらく何十年も感じなかった感覚だ。
彼は思わず笑い声をあげた。
それでも彼女の顔は質疑ではなく、決意に満ちている。
「この病気は治せるはずよ。私はそう信じているの。」
ドラキュラは階段を降りながら彼女をよく観察する。彼女によく似たその姿に彼はその足を止める。エリザベータにそっくりだ。しかし彼は自問する。
本当にそうだろうか?何世紀もの間に彼女の顔の記憶は薄れてしまったのではないか?
「私に頼みごとをする勇気は褒めてやろう。」
そして立ち止まり、彼女に向かって身振りをする。
リサ、私はリサよ。
記憶 5181
太陽が西に沈む頃、ドラキュラは目を覚ました。
棺桶の蓋を押し退けて起き上がると、意外にも読書椅子にリサが座っている。
「今日は帰りが早いな。」
彼女は立ち上がって歩み寄り、彼を抱きしめる。彼女の温もりが彼の全身に広がるのを感じる。それはもう何年も前に太陽の光を浴びた時の感覚を思い出させた。
「今日は外出しなかったの。」
ドラキュラはうっすらと笑みを浮かべる。
「今日助ける人はいなかったって訳かい?」
彼は自分の肩に触れる彼女の顔に笑みがこぼれるのを感じる。
「と言うより、今朝、ちょっと具合が悪かったの。」
彼は顔をしかめ、彼女の肩を抱えながらその顔を覗き込む。
「ひょっとして、病気を移されたのか?私に何が出来る?」
彼女は再び笑みを浮かべ、視線を落とす。
「違うの。そういう病気じゃないのよ。」
じゃあ一体…
「今朝、気分が悪かったのよ。」
彼の目が大きくなる。つまり…彼女は、その手を自分のお腹の上においた。
記憶 5260
彼は彼女を見つけると、その体を両手で抱き上げた。軽い。前よりも軽い。
燃え盛る炎のように発せられた彼女の温もりはもうそこにはなかった。
彼女は殺された。人間の無知によって、彼女が命懸けで救おうとした人々によって。彼女の心がもう少し狭く、彼女の決意がもう少し弱ければ彼女は助かったかもしれない。
しかし彼女はあの病と戦うことを誓い、成功を収めた。それを、あの愚か者たちは黒魔術と呼んだ。
彼女の動かなくなった体を彼が抱きしめる。彼女の言葉を思い出しながら、
「彼らを恨まないで。」
しかし今この瞬間、彼は彼らを恨んでいる。
彼らの心の狭さを、彼らが彼女にした仕打ちを、そして彼らが彼にしたことを。彼女との約束を破ること。彼はその冷たくなった耳に囁く。
「愛する人よ、許しておくれ。」
残念だが、彼等は苦しみを自ら招いたようだ。
記憶 5279
「こんなことは許されない。」
彼の前に息子が立ち塞がる。男気と挑戦的な面持ちだ。ドラキュラはその顔を見る。
自分とは似ても似つかない。そこにあるのは、リサだけだ。
ドラキュラが顔を背ける。
奴らの犯した罪を見逃すわけにはいかない。
「お願いだ!父さん!頼むから、俺は母さんに会ったんだ。彼女は自分を救うなって言った。そして仕返しをしないでほしいって。それが母さんのしのぎの願いだ。」
「こんなことをしても母さんは喜ばない。お願いだ。彼女の意思を大切にしてくれ。」
彼女の命を奪った奴らの血を浴びることこそが、彼女の供養となる。奴らの策略を、あの卑怯なやり方を許すことはできない。私が手を出せないのを知っていて、昼間のうちに彼女を殺すとは。この苦しみを、奴らにも味わわせてやる。
記憶 5293
彼は城内を歩き回り、自分が招集した軍隊に目をやる。恐ろしく歪んだ生き物たち。
代理席の上で、骨がこすれる音や、革のような翼がはばたく音が彼の耳に触れる。想像しい混乱状態にも関わらず、彼の城はまだ空っぽに感じられる。
彼は何か月もかけて、寄せ集めの軍隊を作った。しかし、集まった怪物たちには倦怠感しか感じられない。唸り声をあげ、歯ぎしりを続ける鬼や悪魔たちの横を彼は言葉も無く通り過ぎる。
この醜い怪物たちは、彼からリサを奪った、惨めな奴らを震え上がらせるだろう。だがこの軍隊は纏まりに欠ける。彼の息子がそばにいてくれたら違うだろうが。ドラキュラの表情に気づいたデスが話し出す。
「ドラキュラ卿。彼は理解してくれるはずです。あなた自らが説得すれば。」
「でも、どうすれば彼を見つけられる?」
「それが、面白い噂を耳にしまして。彼はこの城のどこかに潜んでいるというのです。わらき屋の住民から身を隠すため、自分の本当の姿から逃げるために、彼はあなたの後継者。きっと状況を理解してくれるはず。」
ドラキュラが冷笑し、デスに目を向ける。
「私の後継者だって?私は彼に全てを与えた。なのにあいつは私に歯向かった。父親として私に何が足りなかったと言うのだ。この状況を理解させるために?」
デスは、大広間に陣取る怪物たちに目を向ける。
「あなたに何か足りなかったというわけではありません。ただ彼も彼女を失ったのです。彼の母親を。彼の心のどこかにも怒りの炎が燃えているに違いありません。」
ドラキュラは立ち止まり、その助言について考える。
そして城のどこか、自分の近くに潜む息子のことを考える。
「なるほど。考慮すべきだな、デス。礼を言うぞ。お前は私にアイデアを沢山くれた。」
記憶 5306
ドラキュラが唸る。
「また別のベルモンドか。」
例の如く。
「サナターリ、デス、ドラキュラ卿。彼は…」
「もういい。全軍を送ってやつを止めろ。それだけだ。」
ベルモンド。名前を吐するだけで彼の唇が歪む。あの血族は、何世代にも渡って愚かにも吸血鬼の決闘に身を捧げてきた。全ては始祖であるレオンに先見の明が無かったためだ。
奴らは愚か者かもしれないが、あの血族に伝わる武器は真の脅威だ。ヴァンパイアキラー。殺戮向き出しの一族にはふさわしい逸物。この珍山物。トレバーとやら。ドラキュラは彼の噂を聞いていたが、先祖の薄っぺらな複製といった感じしかしなかった。そして、彼が血族の最後の1人となるのだ。
ドラキュラは笑みを浮かべる。これは脅威というより、むしろチャンスかもしれない。
この城で、呪われたベルモンド一族を絶やせば、彼のわらき屋征服を邪魔する者は居なくなるだろう。
記憶 5336
ドラキュラは石の階段を登って玉座の前に近づく。鈍い足音に耳を澄ませる。
その数は4人。彼は玉座に深く腰掛け、彼らが来るのを待っている。
彼はリサの肖像画に目を移す。その姿は何年経っても変わらない。そして自分の顔に触れる。それも何世紀前と同じだ。彼は人間を愛することの悲しみを噛みしめる。自分はずっと同じ姿で人間が年老いていくのを見なければならない。本当の意味で、人生を分かち合うことは出来ないのだ。
彼女を奪われた時、彼の心は怒りに支配され、悲しみに暮れることさえ許されなかった。
扉が軋み、ゆっくりと開く。
「お前がここまで来るとは思わなかった。私の軍隊は期待外れだったようだ。」
トレバーが血気盛んに玉座の前に足を踏み入れる。
「黙れ!吸血鬼め。お前の恐怖統治も今夜までだ。」
「本気か、小僧。俺を倒せるとでも思うのか?多くの者が成し得なかったことを?」
彼の背後から残りの者も姿を現す。
1人は静かな決意を瞳に宿した若い娘。もう1人は、何年も前に彼に歯向かい、彼が封じ込めた者。どうやら彼の呪いは解けたようだ。そして、彼の息子。
ドラキュラの顔から血に飢えた笑みが消える。
「我が息子、アドリアン。また剣を交えようというのか?私に加われれば復讐が叶ったものを。」
彼の息子が、ドラキュラに向けて剣を構える。
「父さん、俺は俺のやり方で母さんに敬意を払うまでだ。」
ドラキュラの基本情報
項目 | 内容 |
名前 | ドラキュラ(ダークロード) |
移動速度 | 4.6m/s |
脅威範囲 | 32m |
特殊能力 | 吸血鬼の変身 |
固有パーク | ・悲惨な運命 ・人間の欲 ・支配 |