きまぐれDbD

DbDの楽しさを発信中!

【DbD】メグ・トーマスのアーカイブストーリー(背景物語)「学術書Ⅳ」

メグ

 

こんにちわ。きまぐれ(@kimagure_DbD)です。
当ブログでは、DbD(デッドバイデイライト)に関する情報をお届けしています。初心者さん・中級者さん向けに分かりやすい解説を心掛けております。どうぞよろしくお願いいたします。(※総プレイ時間約3000時間程度の若輩者です)

 

f:id:Rainbow_Color:20200919001636j:plain
きまぐれ

本日は学術書Ⅳで解放されるメグ・トーマスのアーカイブ物語のご紹介をしていきたいと思います。

ブックマーク(お気に入り)お願いします。

 

 

 

メグ・トーマスのアーカイブストーリー(背景物語)

記憶548

タイヤを切りつける?ちょっと行き過ぎているのではないだろうか。メグは体育の時間に、コーチのジェニーに自分の足の速さを見せてしまったことを後悔している。

彼女はメグに何かを見出したようで、走ってみるようにと言われた。そして今は州大会に出場してほしいと言うのだ。一晩のうちに無名から期待のエースになってしまった。

新たな友人、敵意を剥き出しにするライバル、行き交う噂話。なぜメグなのか。なぜ彼女が優遇されるのか。練習もしてないし、おべっか使いだし、体重管理のためにダイエット薬も飲んでいない彼女がなぜ?なぜあの子が特別扱いされるのか。

優遇という意見にメグは笑ってしまう。自分にとっては優遇なんかじゃない。ずっと走るのは大好きだった。特にチームに所属していなかっただけ。チームの誰よりも走ることに時間を費やしてきたと自信を持って言える。

チームの面々は、無音映画で見るような白黒のストライプ柄をした無法者のコスチュームをメグに着させた。馬鹿らしすぎて叫びたくなる。

メンバーの2人が衣装について口論し、最終的には古めかしい無法者スタイルはやめにして、現代的なスーパーヴィラン風の衣装にすることで話は落ち着いた。仮面も用意したメンバーたちは、警察署の近くでタイヤを切りつけるように命令した。そして不安げにお互いの顔を見合わせる。

チーム加入の通過儀礼ではなく、チームから追い出して刑務所に入れるための手段のように感じる。デイナはメグをけげんな表情で見る。むっとした目つきだ。腹がむかついているような、腹を壊してさえいるよ うに見える。

メグに記録を負かされたことを恨んでいる彼女は、メグが刑務所送 りになれば喜ぶかもしれない。他のチームメンバーはメグのスーパーヴィラン風の名前を決めようと相談している。

ストリート・ラッシャー。
スーパー・ブラスター。
デア・ディーヴァ。

くだらない。皆馬鹿だ。名前なんてさっさと決めればいいのに。

記憶549

「デアダムセル・メグ」は注目と笑いを浴びつつ、通りを駆け抜けた。スー パーヴィランの衣装でうろついていると、恥と恐怖を同時に感じる。メグは恐怖を押し殺し、自分自身を落ち着かせて、考えを集中させた。

タイヤを切ってほしいなら、やってやろうじゃない。それも1つだけじゃないわ。クジラの胃袋に入って、あばら骨を取ってきてやるんだから。それを想像すると笑みがこぼれた。

どこからそんなイメージが出てきたのか疑問に思い、思い出したのは母に読んで聞 かせたお話の1つだった。症状が悪化していても眠れるように、お話を聞かせる。医者はどこが悪いのか解明できないし、もう医者に見せる経済力もなかった。感情に騙されてはいけない。

通行人が自分の衣装を指差し笑うなか、メグは心から悲しみを押し出した。警察を標的にして、この虐めのような通過儀礼の新記録を打ち立ててやる。決心したメグは、胸を今までにないような速さでドキドキさせながらコロラド警察署へと近づいた。

パトカーの後ろにしゃがみ込むとうろたえ、無意識に手が震える。違法行為には慣れていない。自身を落ち着かせるために深く呼吸をする。どんなことにでも、初めてがあるのよ。

ポケットナイフを取り出し、タイヤを切り裂いてゴムの一部を引き剥がし...そして逃げ出した。警官たちが何が起きたかに気付いた頃には、メグは稲光のように疾走している。心臓が口から飛び出そうだ。脚の間隔がない。

警官は追跡を試みるも、無駄だった。メグはゴムの破片と共にチームの元へと舞い戻った。しかもパトカーのタイヤという偉業。本物のパトカーだ。

やってやったわ!チームの面々は笑い、わいわいと囃し立てる。だが、 デイナは笑わない。いつもの、むかついているような顔で見ている。誰もこんな大胆なことを成し遂げたことはなかった。チームへ歓迎するわ...「デア・ダムセル・メグ」

記憶550

メグは学校で話題の中心だ。そしてそれを嬉しく思っている。ジェニーコーチはまだまだ走りの型に調整が必要だと言っているが、メグはそれがどういうことな のかがさっぱりわからない。

彼女は小さい頃から母と山で走ってきた。走りの型など習ったことはない。コーチはさらに、今後の練習でスタートラインで自信を持てるようにしなければならないと言う。

いいわ、それなら簡単よ。コーチは時間の多くをメグに費やしていて、チームの面々はそれを気にしだしていた。デイナは薄汚い陰口を叩いている。プロポーションが整っていないだの、ビギナーズ ラックだの、胴体と脚のバランスが悪いだの。

メグはそれを無視する。反応するとその嫉妬心を助長してしまうからだ。走るのには腿が太すぎるとまくし立てる デイナに、メグは反応しない。デイナは、例のむかついているような顔を向けた。メグもデイナを睨みつける。汚い言葉で罵ってやりたい。今に思い知らせてやるわ、このメス豚!メグは怒りを抑えつけ、上品に微笑む。

ご心配ありがとう。そのバランスが悪くて太すぎる腿は、決勝でもきっと活躍してくれるわ。

 

記憶551

疲れるものの爽快な練習を終えて、メグは自宅への長い帰路へと歩み出す。運を信じる方ではないけれど、幸運のタイヤの破片を手に握りしめながら。頭の中で母の言葉が響く。運を掴むには、その運を自分で作らないといけないのよ。

ところが...タイヤの破片は馬蹄のような形にも見える。偶然?たぶんね。タイヤの破片を愛でていると、後ろで枝が折れる音がしてメグはハッとした。

何が起きているかを理解する前に、何者かに押し倒され、足首を踏みつけられた。強烈な痛みが脚を駆け上り、彼女が助けを求めて叫ぶと、何者かは逃げ去っていった。

メグは苦痛に叫び、必死に立ち上がる。怪我を負った足が地面に着くや否や、またもや鋭い痛みが野火のように体を駆け巡り、再び倒れ込んでしまう。

メグは目を閉じ心を落ち着かせ、痛みを我慢しながら手を伸ばす。何でもいい、体重を支える物を。しばらくして太くゴツゴツした枝を掴むと、苦悶の声を漏らしながらも立ち上がる。家へと向かうなか、一歩一歩が足首にハンマーを叩きつけられているような感覚だった。

記憶552

医師はメグに、脚の所々が骨折していると告げた。回復するまで地に着けてはいけない。彼女は母に付き添われながら、よろよろと松葉杖をついて診察室を出た。

メグは母が心配していることに感づいている。メグの身体のこと、そして借金をせずにどうやって治療費を出すかということを。会話をすることなく、家へと車を走らせる。

ママ・・ごめんなさい。メグが沈黙を破る。母は頭を振る。謝らなくていいのよ、メグ。あなたが無事だっただけで嬉しいわ...もっと酷い事になったかもしれないもの。

メグは頷き、襲撃された時のことを何度も何度も頭の 中に思い浮かべる。押されて、蹴られて、踏みつけられた。なぜそのようなことをされたのかがわからない。犯人は金や物を持っていこうとしなかった。

母が口を開き、警察と話した後で犯人について何か思い出したことがないかと尋ねた。メグは頭を振る。男だったかどうかもわからない。

記憶553

メグは食卓で母に打ち明ける。走れなくなるように、デイナが誰かに襲撃を依頼したに違いないと。怒りに飲み込まれ、普通なら言わないような言葉が口から出てくる。

殺してやりたい。虫けらのように踏み潰してやりたい。地獄で燃えるといい。大会で優勝できたのに!

母は何も言わずにメグが落ち着くのを待っている。辛いのはよくわかるわ。でも...彼女のようになってはいけない。彼女にあなたを変えさせてはいけない。やり返したい?

一番いい方法は、成功することよ。最悪な状況でも、あなたが一番だってところを見せてやるの。それこそが彼女にとって一番くやしいこと。メグは目を細めて母を見つめる。母はメグの手を握りしめる。

負けたと思い込んでしまったら負けよ。負けないと思えば負けないの。人生の戦いは速さや力で勝つことじゃない。精神と意思で勝ち取るのよ。

涙がメグの目から溢れる。母の言葉が心を打ったからではない。母はこの先長くないと知っているからだ...そしてもうこの先、何度もこのような励ましの言葉は聞けなくなるだろう。

母はテーブルの下から箱を引っ張り出した。メグが蓋を開けると、中には見たこともないような黒いドレスが入っていた。言葉が出る前に母が笑う。あなたは勝つだけじゃなくて、アフターパーティーの主役になれるわ。

メグは何かが喉にこみ上げるのを感じた。悪い出来事に力を使い果たしてはだめよ。母はかつてテニス選手だった。小さい頃から聞かされた話は、ビリー・ジーン・キングのことばかりだ。

メグは数えきれないほど聞かされた「聞いて必勝」の激励話を待った。母がいつも恐怖や後ろ向きな感情を振り払うために、キングの試合のラジオ 放送を聴いていたという話だ。頭を成功のことでいっぱいにするの。そうすれば恐怖は居場所がなくなる。母はメグのポッドキャストに特別なミックスを入れてくれた。

メグはプレーヤーを手に取り見つめた。長い間、見つめた。そして母の方へと歩み寄り、二度と離したくないとばかりに強く抱きしめた。

 

記憶554

メグはラジオの録音を聴きながら学校へと足を踏み入れる。史上最速のランナー。精神的、そして肉体的な壁が立ちはだかりながらも、オリンピックで金メダルを手にしたジェシー・オーエンス。

同じ録音を何度も何度も繰り返し聴く。頭を勝利で埋め尽くし、恐怖や疑念の居場所をなくす。コーチが歩み寄ってくる と、メグはプレーヤーを横に置いた。恐ろしい噂を聞いたわ。

デイナがあなたの足の怪我に関与しているかもしれないって。デイナは大会に出場させないことにしたの。メグは頭を振る。そんなことはしないでください...彼女には勝って見せます。私は成功してみせます。コーチは目を見開く。

勝つですって?成功してみせるって言ったの?その足で走ろうだなんて考えてないでしょうね。メグは一呼吸を置き、嘘をつく。病院では問題ない、打撲だって言われました。

コーチが足に触れる。メグは叫び声を上げる。コーチは疑念の目をメグに向け、
それ以上何も言わずにその場を去った。「デアダムセル・メグ」は再びプレーヤーを手に取り、音量を上げる。独裁者に一杯食わせた、ジェシー・オーエンスの成功で頭を埋め尽くすのだ。