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【DbD】リー・ユンジン/アーカイブ物語「学術書Ⅸ」【デッドバイデイライト】

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のん

こんにちわ。のんです。
本日は学術書Ⅸで解放される「リーユンジン」のアーカイブ物語になります。

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【DbD】リー・ユンジン/アーカイブ物語「学術書Ⅸ」【デッドバイデイライト】

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学術書Ⅸの特定チャレンジをクリアすると解放される「リーユンジン」のアーカイブになります。  

嘘の反復 記憶443

長時間のフライトで疲れたユンジンは、ノートパソコンの電源を入れるとあくびをした。彼女は二時間前にリオデジャネイロに着陸したばかりだったが、仕事は、 待ってはくれない。メールボックスを見ると、見知らぬユーザーから自分に宛てて12通もの未読メールがある。彼女のことをユンジンだと知っている者はほとん どいない。ほとんどの人は彼女をマグヌム・オプスとして認識している。彼女は メールをクリックする。


彼女とトリックスターを殺す計画が、生々しく詳細に書かれている。トリックスターの一番のファン、と署名がある。殺人予告だ。異常なほど詳しく書かれてい て、ホテルのロビーにいる彼女の写真も添付されている。


NOSPINが亡くなる前なら、そんな脅迫は無視していた。でも今は・・・マニキュアが塗られた手は携帯電話を持ちながら震えている。


脅迫は軽視できないほど深刻だ。彼女は警備員を呼んで緊急のミーティングを開く。外出は、レコーディングとコンサートのリハーサルだけに制限されている。ボディーガードがトリックスターと彼女に割り当てられる。


ホテルの敷地内に留まることに反対するトリックスターを除き、みんなが新しいルールに従うようになった。特に驚きはない。彼女とトリックスターの関係は、数か月前から行き詰っている。彼女が下す決断のすべてに彼は異議を唱え、彼のエゴによって彼女の忍耐は限界まで来ていた。頻繁に意見の相違があり、次回のアルバムは予定より遅れており、彼女は彼のツアーを監督しながら3曲の新曲を制作することになった。


お抱えのセキュリティ専門家は、携帯電話の準備ができていることを確かめている。彼女のリクエストにより、GPSの追跡アプリケーションがすべての社用電話にインストールされた。このことは誰も知らない。トリックスターが彼女の忍耐」力を試すようなことがあれば、このアプリが役に立つだろう。これは彼のためだ。ひいては彼女のためでもある。

嘘の反復 記憶444

ユンジンは、レコーディングスタジオでコーヒーを飲みながら、あくびをこらえる。こめかみがズキズキ痛む。かなりひどい時差ボケだ。それに、熱狂的なファンの絶え間ない脅迫によって、夜に眠ることも妨げられている。


ブースに戻る途中、隣のスタジオが埋まっていることに気付いた。彼女は中を覗いた。レコーディングブースで若い男が笑っている。雑誌を何千部でも売ることができるような呑気な笑顔をしていた。彼女はミックステーブルの男に気付く。そこそこ有名なサン


ディエゴのプロデューサー、アラーノ・ミューズだ。
リオで何をしているのかしら?何か新しい噂話でもあれば、彼女も元気になれるかもしれない。彼女は扉の窓を叩く。


扉がきしみながら開く。


もちろん彼は彼女のことを覚えている。誰もマグヌム・オプスを忘れてはいない。彼は作業中の楽曲を流していたが、彼女は勝手に中に入る。スローなテンポで、型にはまっていて、新しいところは何もないベースラインだ。無難すぎて興味がわかない。すると、この世のものとは思えない歌声が部屋を満たす。ユンジンは、コーヒーをこぼしそうになった。アーティストの歌声はクリスタルのようだ。カ強いのに繊細な表現。


誰かしら?


アラーノは、この若いアーティスト、ルーカスに、キーを一段階下げるように言う。間違った判断だ。この曲は、ルーカスの声域を押し広げるために作られたもので、彼の歌声を退屈で一般的なサウンドに閉じ込めるべきではない。彼女はルーカスに近づき、名刺を手渡す。


本気でアーティストになりたいと思ったら、私に連絡して。


彼女は帰り道に後悔の念に襲われた。あれとまったく同じ言葉を、何年も前にトリックスターにも言った。その当時は、彼と一緒に仕事をするのを楽しみにして、いた。


そんな時期はとっくに過ぎ去ってしまった。

嘘の反復 記憶445

ホテルのバーで、ユンジンは冷たいカイピリーニャを一口飲む。ライムの酸味を和らげるサトウキビの酒。


なぜ彼女は、あの若いアーティスト、ルーカスに名刺を手渡したのだろう?彼女が彼をプロデュースできるわけではないのに。懐かしさで胸がキュンとなる。カ_イピリーニャをもう一口飲んだ。彼女は恋しくなった。新しい才能の発掘することにだ。大胆なサウンドを作り出す、粗削りで創造的なカオス。ファーストアルバムに興奮した。今は状況が異なる。彼女の時間は、肥大するトリックスターのエゴを処理することと、一般的な無限の生産サイクルに従うことに費やされる。


これは成功の代償なのか?身のすくむような音楽を作ることが?言うまでもなく、熱狂的な精神病のファンに脅されている間に、ボディガードや外出禁止についての議論を処理することが?


彼女の人生は、彼女が幼い少女の頃に想像していたものとは全然違う。その当時、彼女にとって音楽だけが唯一の取り柄だった。彼女は、明るいライトで照らされたステージを想像しながら寝室で曲を作った。そのステージとは、安全で、大きな声を出せて、自由になれる場所だった。彼女にとってポップミュージックとは、堂々と自分を解放するための重要な手段なのだ。しかし、今は成功したおかげで、豪華だが自由のない生活を送っている。


カイピリーニャを飲み干す。バーテンダーが一目見ると彼女はうなづく。どんどん持ってきて。彼女はマイティー・ワンの幹部をオンラインミーティングに呼び出し、報告した。リオで3曲の制作を終えた後、トリックスターの担当から外れることを。訓練生の売り出しをプロデュースしていくつもりだ。


マイティー・ワンの幹部が彼女の話をさえぎる。彼らにはもっと緊急性の高い案件がある。ネットで悪い噂が流れている。精神不安定で妄想的なファンがトリックスターのコンサートで人を殺したと言っている。拳を握ると、マニキュアが塗られた長い爪がユンジンの手のひらに食い込む。これでもう手が震えない。


彼女はイメージを守るために、このマスコミの問題を処理するだろう。しかしリオの後で、トリックスターの担当は降りる。マイティー・ワンが望もうと望むまいと関係ない。  

嘘の反復 記憶446

後に目撃されたのは、今年の初めにニューヨークで行われたトリックスターのコンサート後のVIPのパーティーだった。ユンジンはその夜のことを覚えている。コンサートのせいではない。原因は、それ以来心の中で繰り返し思い出す些細なことだ。コンサートのアフターパーティーにトリックスターが現れたとき、前腕に引っかき傷があって、そこから出血していた。今回の噂は、彼女が以前沈黙した。疑惑を再燃させた。


数年前、彼女はトリックスターと予定よりも数日早くマイアミに到着した。トリックスターがリハーサルをしている間に、ユンジンはネットワーキングイベントに参加した。到着してから3日後、とあるフォークシンガーが演奏したバーの近くのダウンタウンで死んでいるのが発見された。顔を隠して黒い服を着た男が、被害者を路地に誘導している防犯カメラの映像が公開された。暗くてぼやけた映像からは、容疑者のことはほとんど分からなかった。しかし、エンジンはあることに気付いて嫌な予感がした。容疑者の首に金色の縁のヘッドホンがかかっていたが、それぞれの耳に2つの大きな「XS」が付いていたのだ。それは最新モデルの「Xerxes」1050xヘッドホンで、オーディオ愛好家にもほとんど知られておらず、さらに買える余裕のある人も少ないような代物だ。トリックスターは、他の高額モデルよりそのブランドを好んだので、彼女にはすぐ分かった。マイアミに向かう飛行機の中では同じものを着けていたが、その後のツアーでは、より低品質のモデルに変えていたので、彼女はさらに疑問を感じた。



ただその当時、彼女は良い状態ではなかった。NOSPINの死から、まだあまり時間は経っていなかった。急性的な不眠症で意識がもうろうとし、ツアーの時差ボケで彼女の状態は悪化するだけだった。最終的には警察に任せることにして、彼女は音楽制作の仕事に集中することにした。しかし、誰かが死んだ。その人が生きているのを最後に見たのはトリックスターかもしれないのだ。ヘッドホン、引っかき傷、夜遅くの外出などは、小さなことだが、疑問は積み重なっていた。


いくつの偶然が重なれば分かるのだろう?


ドアがノックされた音に彼女は飛び上がる。セキュリティの責任者がやって来た。ユンジンは自分の直感に従う。彼と向かい合う。彼が真実を話さなければ、警備員を全員解雇すると迫る。それが効いたようだ。トリックスターが昨夜、ホテルの敷地から出ていったことを知る。ボディーガードは後を追ったが、途中で見失ってしまった。


ユンジンは拳をテーブルに打ち付ける。


なぜホテルを離れたの?一体どこに?それに...目的は?


トリックスターと何年も仕事をしてきたが、彼のことはほとんど知らない。信じられないような利益を生み出す一方で、かなりの犠牲が伴っている。トリックスターが殺人に関係しているなら、彼女も同罪だ。証拠がなくても、それがただの噂であったとしても、彼女の生活とキャリアがかかっている。彼女は二度と音楽を作ることができなくなる。そして最悪なのは・・・それが彼女の責任だということだ。この業界では人を信用しないほうがよいことを、彼女自身がよく知っている。


彼女は手遅れになる前に、答えを見つける必要があった。トリックスターが夜に何をしていようと、彼女が彼を見つけ出さなければならない。確信を得られるまで、彼女の疑念は消えないだろう。

嘘の反復 記憶447

トリックスターのリハーサル中に、ユンジンは警備員を置き去りにした。彼女がやろうとしていることは、厳密には合法ではない。


彼女はドアマンにVIPバッジを見せて、トリックスターの控室に入る。トリックスターが何をしようとしているのか、何か手がかりを見つけることができるかもしれない。華やかな衣装に囲まれて、彼女は手がかりを探す。レシート、メモ、写真などだ。彼女はジムバッグを見つけた。


中には水筒、数枚のTシャツ、それに彼の財布が入っている。財布の中には紙幣も気になるものも何も入っていない...ホテルのルームキーを除いて。おそらく探す場所を間違ってしまったようだ。扉の横で大きな声でしゃべっている人が彼女を「注意する。トリックスターの助手が入ってくるのと同時に、ホテルのキーカードをひったくり、バッグを閉める。


ユンジンは胸のドキドキを抑え、無表情のまま外に出る。助手が何を見たとしても、少なくとも関係者にはあえてそのことは言わないだろう。


ユンジンはキーカードを手に、トリックスターのホテルの部屋に着くと立ち止まる。これをやってしまうと、もう後戻りはできない。だが、トリックスターが何かを隠しているのなら、誰よりも早くそれを知る必要がある。彼女の人生を台無しにしてしまう前に。そこに疑いの余地はない。ユンジンは扉を開ける。




トリックスターの部屋は整理整頓されている。ほとんどここにはいないようだ。彼女は彼の荷物を調べる。奇抜な服が山積みになっている。全身黒のパーカーとスウェットパンツ。黒のフェイスマスク。ツアーで彼が着ているのは見たことがない。


扉を叩く音がする。


ルームサービスだ。ユンジンはフェイスマスクを落とす。また後で来て。


ベッドサイドテーブルに置いてある上位機種の珍しいサンプラーを除いて、おかしなものは見当たらなかった。興味をそそられ、再生ボタンを押す。連続した激しい悲鳴が部屋中に響き渡る。叫び声は...本物だ。ホラー映画から取ったサンプルだろうか?


それでも、彼女が最初に抱いた不安な考えを完全に振り払うことはできなかった。もしそれが本物だとしたら・・・?


次に見つけたものは、彼女をさらに不安にさせた。ナイフ研ぎの道具だ。砥石と、掃除道具などが一式揃っている。


レコーディングスタジオで聞こえてきた以前の会話が、彼女の心の中で再生され、る。若いアーティストのルーカスがトリックスターに自己紹介したとき、彼が手、に持っている派手なナイフについて尋ねる。トリックスターは、常に刃物を持ち、歩いていると答える。


ユンジンは砥石を手に取る。ステージの小道具を研ぐのはなぜ?確かにトリックスターは、子供の頃に本物のナイフを使ってスタントをしていたが、今はもうその必要がない。このようなナイフへのこだわりは、ショーのためだけではない。それに、ナイフを使わないのに、研ぐ意味はあるのだろうか?彼女は身震いしている。


扉からまた音がする。ユンジンは低石を置いた。


また後で来てって言ったじゃ...


トリックスターが部屋に入ってきて、彼女は不意を突かれる。彼と目が合った。
彼は数年前に契約したときの不器用な若者のままだ。彼に足を引っ張られてたまるものか。


彼の激怒と彼女の怒りが交錯する。ユンジンはサンプラーを手に取る。


あなたは夜に一体どこをほっつき歩いてるの?それに、このホラーの真似っこは、何よ。マスコミに知られたらどうするの?あなたのキャリアは終わってしまうわ。


トリックスターはため息をつき、NOSPINの死後に心が暗い方向に追い込まれてしまったと認める。彼らの死についてほとんど語らないが、彼女はその理由が分かる。あの日のことは、今でも彼女の夢に出てくる。時は経っても罪悪感は消えない。


ユンジンは、テーブルの上に彼の携帯電話を見つける。


トリックスター、ミニバーから何か飲みなさい。今日のリハーサルは中止よ。


彼女はサンプラーを預かり、コンサートまでホテルの敷地内にいるようにと念押しする。彼は納得してうなずく。


よし。彼女の策が成功するためには、彼女が信頼していると彼に思わせなければ、ならない。  

嘘の反復 記憶448

ユンジンはホテルの部屋から外を眺めている。外は容赦なく雨が降り続き、街の一部では鉄砲水が発生している。彼女はスタッフに電話する。嵐がどんなにひど、くても、ショーは続けなければならない。


しかし、彼女のみぞおちあたりの不安の高まりは天気のせいではない。トリックスターはどこか怪しい。どれだけ儲けをもたらすとしても、無視できない予感が、する。彼は誠実そうに見えるかもしれないが、長年の経験から彼女は誰も信用す。ることはない。


ユンジンは携帯電話を手に取り、トリックスターの社用電話のGPSトラッカーを有効にする。リオの巨大な地図の上に、彼の居場所が青い点で表示されている。

彼女の直感は正しい。彼はもうホテルの敷地内にはいない。


追跡が始まった。トリックスターに新しいトリックを教えてやろう。


ユンジンはトリックスターの居場所の近くでスピードを落とす。彼女が近付くと、灰色のセダンが突然走り去る。彼女は携帯電話を確認する。地図上では青い点がどんどん遠ざかっていく。トリックスターは発車した車に乗っているに違いない。


ユンジンはアクセルを踏み込み、スピードを上げる。何回か曲がった後で彼女は、セダンに追いつくが、セダンは右に急旋回する。ユンジンも続いて、ブレーキを踏みながらハンドルを引っ張る。彼女の車は曲がり角でドリフトしながら、狭くて汚らしい路地に向かって滑っていく。


セダンは加速して左に向きを変え、路地に入っていく。ユンジンはハンドル操作を繰り返し、左にドリフトしていくが、水たまりのできたアスファルトでタイヤがハイドロプレーニング現象を起こし、車が制御不能になる。


衝突音が雷のように書いた。ユンジンの頭がハンドルに押し付けられる。白い光がフラッシュする。それから、首から腰にかけて焼けるような痛みが彼女の体を、襲う。


ユンジンは咳き込み、痛みにあえぐ。少しの間は息をすることしかできなかった。息を吐くと痛みがわずかに和らぐ。ラジオからは大音量のロックが流れてい」る。とてもうるさい。彼女は前に手を伸ばし、ぼーっとしたままスイッチを切る。左の眉の上の部分がヒリヒリする。彼女は額をそっと触って、痛みに顔をしかめる。指には一滴の血が滴っている。


フロントガラスは助手席側にヒビが入っている。エンジンはゆっくりと動き、偵て重に身を乗り出す。


OK。すべて大丈夫。私は無事よ。


彼女は外を見る。車は助手席側から街灯に衝突した。もっとひどいことになっていたかもしれない。


馴染みのある音が、彼女の思考を遮った。携帯電話だ。ユンジンはゆっくりと前かがみになり、座席の下を探した。携帯電話を手に取ると、画面のロックを解除する。トリックスターの「助けて」というテキストメッセージだ。


なぜ彼は助けを求めるのだろう....彼女は何か見逃していたのだろうか?それとも...彼女が追いかけているのはトリックスターではないのかもしれない。


ユンジンの心臓が一瞬止まる。殺人予告。トリックスターの一番のファン。もしかしたら熱狂的なファンが、トリックスターが毎晩外に抜け出していることを知り、攻撃を決意したのかもしれない。突き詰めると、誘拐と殺人予告は密接に関連している。


彼女は悪態をつく。トリックスターを追いかけるために、彼女はボディガードを置き去りにしていた。トリックスターであるジウンに何があったとしても、また、彼女が盲目すぎてそれを止めることができなかったとしても・・・いや、違う。彼女の良心はすでに十分すぎるほどの罪悪感を感じている。


ユンジンはシートベルトを締め直す。彼女が車のキーを回すと、エンジンがガラガラと音を立てる。彼女は歯を食いしばって再度トライする。


火事にはならないはず…彼を見捨てられないわ。


彼女は再びキーを回す。また回す。3回目で、エンジンは前のように回り始める。彼女はダッシュボードに自分の携帯電話を置き、青い点を追う。

嘘の反復 記憶449

ユンジンはGPSを頼りに、廃墟となった倉庫に面した荒れ果てた駐車場にたどり着く。青い点は動いていない。


ここだ。ジウンはどこかにいるはず。でも一体どこに?


ユンジンが車から降りると、痛くて震える体に激しい雨が降り注ぐ。日光が暗い嵐の雲に覆われている。駐車場には壊れた車がたくさん停められている。ユンジンは携帯電話のライトを使って灰色のセダンを探す。雷が鳴り響く中、彼女の携帯電話は車の窓についた血まみれの手形を照らし出す。彼女はドアに近付き、中を覗き込む。突然、何かが動いた。彼女はドアを開ける。


ネズミが車から飛び出す。後部座席には、ジウンの携帯電話、ぼろきれ、ロープが残されていた...


ユンジンはチクチク痛む目を閉じる。手遅れだったかもしれない。
泣いている場合ではない。ジウンがまだ生きているなら、助けを必要としている。はずだ。


ユンジンは携帯電話を手に取り、警察に電話し、それから警備員に連絡する。この熱狂的なファンが何を企んでいても、それはもうすぐ終わる。  

嘘の反復 記憶450

ユンジンは雨の中をふらふらと歩きながら、手がかりとなる痕跡を探している。凍てつく風が濡れた体に吹き付ける。しかし、止まることはできない。ジウンの安全が確保されるまでは。


白い名刺が落ちた水たまりをネズミが走る。エンジンは血に染まった名刺を手に取る。「マグヌム・オプス、音楽プロデューサー」と書いてある。彼女の名刺だ。ジウンを誘拐した犯人が知っている人物かもしれないということに気付き、彼女は身震いする。


遠くでパトカーのサイレンが鳴っていたが、それが自分が呼んだものなのか、それとも嵐に巻き込まれた人に向けられたものなのかは分からない。エンジンはジウンの名前を大声で呼ぶ。サイレンと雷に絶望しながら叫ぶ。そのとき、駐車場の向こう側の廃墟となった倉庫のほうから悲鳴が聞こえる。


彼女は倉庫に駆け付け、広い扉のところにたどり着く。取っ手にはチェーンが巻かれ、南京錠で固定されている。その間に警察が現場に到着する。
倉庫から残酷な悲鳴が聞こえてくる。


彼女に待っている暇はなかった。NOSPINに起こったようなことは、二度と起こしてはならない。絶対にだ。


地面に落ちている鉄パイプを拾うと、南京錠に何度も叩きつける。


ジウン!ジウン!!


南京錠が壊れて扉が開く。