
・ジョナ・バスケスについて知りたい!
・固有パークは?
・背景物語も教えて!
とDBDのサバイバー、ジョナ・バスケスについて詳しく知りたい方向けの記事となっています。
ジョナ・バスケス「固有パーク」
パーク名 | 解放レベル | 優先度 |
打開策 | 30 | ★★★★☆ |
是正措置 | 35 | ★☆☆☆☆ |
恵み:指数関数 | 40 | ★★★☆☆ |
※優先度は私の独断と偏見で決めております。
打開策
発動条件 | ・負傷した時 |
効果詳細 | ・負傷ブーストの効果が2秒間延長される。 ・使用後は40秒間の疲労ステータスが発生。 |
詳細解説 | 「打開策」効果詳細はこちら |
是正措置
発動条件 | ・スキルチェックでグレイトを出すたび |
効果詳細 | ・儀式開始時に(1/2/3)トークン所持し、スキルチェックでグレイトを出すたびに1トークン獲得する(上限数5) ・協力してくれている生存者がスキルチェックに失敗すると1トークン消費され、その失敗したスキルチェックがグッドになる。 |
詳細解説 | 「是正措置」効果詳細はこちら |
恵み:指数関数
発動条件 | ・トーテムを清めて恵みのトーテムを作り出す。 |
効果詳細 | ・無力なトーテムを清めて恵みのトーテムを作り出す。 ・恵みのトーテムの範囲内にいる生存者は回復速度が(90/95/100)%上昇し、瀕死状態から完全回復できる。 ・トーテムは同時に1つしか清められない。装備したすべてのパークが恵みのトーテムが有効になる。 |
詳細解説 | 「恵み:指数関数」効果詳細はこちら |
ジョナ・バスケスの背景物語
ジョナ・バスケスはベールの裏側にある真実を見ることができた。その優れた頭脳で、ほとんど誰もが理解できないような方法で数字を理解した。夕日、建築、草の葉—それら対象の中を、目の光が届かないほど奥深くまで見通すことのできる彼は、数字—つまり数学—を説明する言葉、人類が存在する理由と仕組みを決定する、宇宙で絶えず繰り出される複雑な数式を理解した。構造とパターン。完全な法則、物理法則。
彼の才能は、生まれ育った家の貧困連鎖が原因で見過ごされてきた。しかし、パターンというものは通常のコースから外れる場合がある。ジョナの父親は家族の幸せのため、体を張って奮闘した。カリフォルニア州フレズノ近郊で果物の摘み取り作業員として働いていたことがきっかけで、ついには小さなマングローブを手に入れた。立派な林ではなかったが、ジョナに安定した養育と教育を与えるには十分だった。
ジョナは上級クラスに入れられたが、周りの同級生は彼の才気にほとんど気づかなかった。親しい友人が数人いて、野球が好きで、古代文明に興味を持つ、至って普通の少年だった。ただ、頭が数字モードに入る時、ジョナは独りの世界に浸った。彼にとって数字は何よりも魅力的な驚異だったのだ。フィボナッチやリカマンの数列を掘り下げた彼は、すぐに歴史上の主要な数学者が編み出した複雑な数式に熱を上げた。
16歳の誕生日、ジョナのもとに宛先のないカードが届いた。言葉はなく、数字だけが書かれている。
8,25,19,44,1;-20.37,-69.85;13,2,26,11,1
問題だ。数学の先生か、彼が難問を解くのが好きであることを知っている親戚からの誕生日プレゼントだろうか。ところがどういうわけか、そうではなかった。ジョナはすぐさまGPS座標に気づき、これがチリのとある位置につながっていることを発見したが、他の数字は意味がわからない。いくら試しても、試みは失敗に終わった。
時が経ち、彼は問題に不備があると言い聞かせて解くのを断念した。大学に進学し、卒業したジョナは、暗号解読担当としてCIAに入局した。出勤初日、就業規則に記載されていたのは数年前に受け取った数字だった。
8,25,19,44,1;-20.37,-69.85;13,2,26,11,1
首の後ろにはっきりと分かる緊張が走り、翻弄されている感覚を覚えた。彼は問題に再度取り掛かったが、得られたのは、あれから何年も経験を積んだにもかかわらず、新たなヒントは何も得られないという事実だけだった。だが悩んでいる場合ではない、仕事に集中しなければ。
ジョナが任されたのは、ヨーロッパ中の信号局から送信されるメッセージの解読業務だった。アーカイブの映像によると23年間ものあいだ数十人が業務に関わっていたが、その立場はどれも不明だった。単純な光の点滅によって隠された複雑な暗号によって、まとまりのない情報が明らかになった。大きな手掛かりにはならなかったが、それらのメッセージを見るかぎり、世界中の権力者や富豪が関わっているようだった。
そのプロジェクトは突如終了になり、関わったエージェントは皆他の業務にまわされることになった。ジョナは新たに民主制が誕生したクワンタナに設置された極秘捜査部へと移動になり、反対勢力が発信するメッセージの妨害と解読を任された。彼の任務によって数々の反対勢力の潜入場所が判明し、アメリカは反対勢力を狙うことができた。そして爆弾が落とされた。
自分が解読したメッセージがおとりだったことに気づいた時には、手遅れだった。膨大な数の一般人が犠牲になったが、当局は本当の数字を隠蔽した。ジョナは自分を責めた。惨状と家族の別離を直接目の当たりにした彼は休暇を取ったが、クワンタナに残り実際の被害の規模を調査した。何かやらなければ。ジョナはCIAのデジタルセキュリティ担当の1人から気に入られていることを利用して頼み込み、反対勢力のコンピューターネットワークに侵入した。そこから数字を調べて改ざんしたが、この時は誰も気が付かないだろうと思っていた。彼は反対勢力から少しばかりの金額を吸い上げ、家や家族を失った人々に回した。
検知されず血も流れず、事は順調に進んだかのように見えたが、それは彼の部屋に銃声が鳴り響くまでの話だった。ジョナは床に伏せた。窓ガラスが粉々に割れ、壁に次々と穴が開いていく。ノートパソコンを掴むとキッチンの窓を割り、隣の建物の屋根に飛び移った。衝撃でズキズキ痛む足首をさするよりも前に、小さな家は爆発して炎上した。ジョナは振り返らず、ただ必死に逃げた。這うように路地へと降りると、ダンボール箱や腐った機材で作られたボロボロの掘っ立て小屋が立ち並ぶスラム街に身を隠した。1週間後、疲れ果て、ホコリまみれになった彼はすっかり参った様子でアメリカ大使館にたどり着いた。
息をつく間もなく、CIAの上官から電話があった。「これで懲りたか?改革運動を起こした感想はどうだ?」
ジョナは自分が無力であることを痛感した。そして改めて、集中すべきことに意識を戻すことにした。シンプルかつ白黒がはっきりしたもの。数字だ。
上官はジョナに新たな仕事を与えた。数名しか関わっていない極秘任務だ。信号局に関する彼の調査が上層部に伝わり、秘密のベールに覆ったままでプロジェクトが再開された。ジョナは暗号解読に専念した。仕事自体に魅了された部分もあるが、一方で苛まれる罪悪感を忘れるためでもあった。信号局の仕事は、ホラーポッドキャストというさらに不可解な展開を見せた。
世界中の怖い話やホラー話の中に、慎重に隠された暗号が含まれていたのだ。暗号は時に数字で、時に文字で構成されていた。そしてどの暗号も、あたかも秘密のパスワードかハッシュタグのように、こんなメッセージが含まれていた。「生け贄は転生」。暗号に隠された情報は権力のある人々のコネクションに関するものだった。だが何が目的なのかは分からない。招集、生まれ変わり、生け贄、狩りなどという言葉が行き交っていた。ジョナはその大半が、こちらを欺くためのおとりだと考えた。その夜は遅くまで他の暗号を分析した。今回暗号が隠されていたのは、吸血鬼の話だった。解読した結果を見て、ジョナは背筋に冷たいものを感じた。
8,25,19,44,1;-20.37,-69.85;13,2,26,11,1
またこの数列だ。ジョナはこの数列に取り憑かれていた。目を閉じてもなお目の前に現れるこの数列は、彼の眠れぬ脳裏にまとわりつき、かまってくれと訴えていた。ジョナは数年前と同じように座標を確認したが、やはりチリの墓地を指し示しているだけだった。彼はCIAのデータベースにログインして、その場所の過去に関する情報を検索した。ヒットした検索結果が1件だけあった。その周辺で遺体が発見された、未解決の事件。死体は数百羽のカラスによってついばまれていた。
ジョナはこれ以上謎を謎のまま放置するわけにいかなかった。これまで彼にまとわりついてきたこの数列に、今度は彼がまとわりつく番だ。上官が認めてくれるとは思えなかったので、誰にも知らせずにチリ行きの航空券を手配した。この座標にいったいどんな特別な背景があるのか、この目で確かめたい。24時間もかからずに、ジョナは「–20.36,-69.85」にたどり着いた。うだるような暑さのなか、彼はゴーストタウンにある墓地に立っていた。
砂と骨しかない。砂に唾を吐きかけると、ジョナはもう一度数列の解読に頭を悩ませた。古い墓の横でうなだれる。用心深いカラスの視線を感じながら。故郷とマングローブが恋しかった。宇宙の複雑さが降り掛かってくる前の、あの頃に戻りたい。古い廃墟が建つ片側を見て、反対側の見渡すかぎり広がる砂漠に目をやる。フレズノに似ている—乾燥した高い気温と、砂ぼこりの舞う地平線からオレンジ色の輝きを放つ夕日。だがここは、故郷ではない。自分はよそ者だ。ジョナは、よそ者の立場からこの場所を見た。
そして理解した。
彼はこの暗号を、自分の経験から、自分の世界観をもって分析しようとしていた。多くのことを見過ごしていたのだ。興奮した彼は夢中になって謎に挑み、考えた。この数列は他の文化にとって何を意味するのか?古代エジプトの測定法、ペルシャの通貨、そして…旧暦。彼はついに理解した。
自分の持つあらゆる古代文明の知識をふるいにかけ、最終的にたどり着いたのはタニリアン歴だった。日にちとして数字を代入すると、最初の半分をグレゴリオ暦に変換させた。そして導き出された数字を見て彼は驚愕した。自分の誕生日だ。世界は彼の周りをらせん状に回っている。手に汗を握りながらジョナは残りの数字を計算した。現れたのは別の日、今日だ。
この暗号が指し示していたもの…それはジョナとこの場所、この瞬間だった。手が震えた。心臓が肋骨に向かって激しく高鳴る。これは預言的なものなのか、それとも誰かのお膳立てなのか?ジョナには分からなかった。数字と言えども、今回ばかりはつじつまが合わない。
ひどい疲労感に襲われるなか、目の前の世界が不可能な形で変わっていった。ジョナは自然の方程式を知っている。目に映るのはあり得ない光景だ。砂漠の向こう側には父親のマングローブが広がり、圧倒的な心地良さを感じる。カラスが遠くから鳴き、柑橘類の香りが風にのって漂っている。彼は子供に戻ったのだと思った。あの数列はただの恐ろしい悪夢だったのだと。懐かしい気持ちにとらわれたジョナは黒い霧が草から滲み出て渦巻きながら自分に迫っていることに気づかなかった。カラスが枝から飛び立つと、執拗に甲高く鳴き、空中で旋回した。風のにおいが柑橘類ではないということに気づいたが、もう遅い。
ジョナ・バスケスのアーカイブストーリー「学術書12」
「聞き流しでサクッと見たいっ!」って方はこちら。音声&字幕付きの動画になります。ラジオ感覚でお楽しみください!
記憶201
雨の降るコロラド州ホワイトロックの通りは歩行者でにぎわっている。ちょうど食料品店から出てきたカップルにジョナは突っ込んでしまい、押し倒されたカップルからリンゴやオレンジが落ち、キラキラ光る水たまりに入った。ジョナは素早く大きな声で謝ると、街灯に照らされながら走って通りに出る。鳴り響くクラクションに、車のヘッドライトの光。ジョナが黄色いセダンのボンネットの上を滑り、自転車に乗った女の前に着地すると、女が倒れる。女はゆっくり立ち上がると、ジョナに向かって叫んだ。銃弾が近くの空気をかすめる。
肩越しに後ろをちらりと見ると、ジョナは真っ向から土産店に突進した。マグカップや皿を割り、勝手口めがけて走り、裏通りに出ると濡れた歩道で滑った。すぐに立ち上がり、全速力で走る。
フェンスを飛び越えて、コンクリートの堤防を転げ落ちると、急いでゴミ箱の陰に隠れた。ジョナが息を整えているそばを、黒いトレンチコートを着た追っ手が通り過ぎていく。サイレンサー付きの黒光りするピストルを持っている。
暗闇の中で目を細め、彼らの姿を見る。不明な位置から発信されていた、ランダムであろう音を解読してしまったことが誰かの気に障ったのだろう。暗号化された信号やパルスを通して、名前や位置情報を送信しているスパイだろうとジョナは考えていた。理由はまだ分かっていない。
しかし、企業名と著名な億万長者の名前を解読するとすぐに、上司にその任務から降ろされた。早すぎる反応だった。だからジョナは、自分で調査しようと考えた。最善のアイデアとは言えない。しかし、彼の中の何かが知りたがっていた。失踪した人物の名前を含む暗号メッセージに関わるなという命令をなぜ受けたのか、知る必要があったのだ。ジョナは、この件が何らかの形で人身売買に関連するように思えた。しかしディーンは…
・・・ディーンという男はパターンに当てはまらない。彼は、失踪した他の人物たちとは違っていた。この男はうるさく、よくしゃべり、自分の生徒に起きたすべてを政府のせいにしていた。
あの子分どもがディーンを見つける前に、自分が見つけなければいけなかったのだ。
記憶202
叫び声がジョナの携帯からこだまする。ジョナは陰鬱な狭いモーテルの部屋にいる。この地域の数人の若者が作ったフェイク映像を見ていた。廃墟と化した駅から逃げ惑う若者たちのシーン。その後ろから、彼らをさらおうとするようなかぎ爪のような恐ろしいフックとともに霧がやってくる。
何を見ているのか分からなかった。まだ小さい頃に母親と行ったフレズノ美術館で見た絵画に似ている。芸術は視野を広げてくれると母親はよく言っていた。だがこの作品にそのような効果はなかった。その作品は、ジョナを心底怖がらせただけだった。
その後、もう美術館など絶対に行きたくないと思った。ディーン・パーカーは彼らの担任だった。ディーンは何か知っていたから、名前が暗号化された信号に載っていたのだ。生徒が何か話したに違いない。ジョナは動画を閉じて、オンラインで見つけたディーンのプロフィールを開いた。彼を見つけ出すための手がかりを見つけるためだ。何らかの手掛かりを。
記憶203
ディーンのプロフィールに載っている衛星顔認識写真から、ディーンは交通量の多い高架下で細々と暮らしているホームレスのコミュニティを訪ねていたことが分かった。ジョナは車を降りると、小さな焚き火の間を縫うように歩き、オレンジ色の光に照らされた無感情でいかめしい顔をしたホームレスのなかを探した。少しして、ブランケットをしっかりと被った男が自分のほうをまじまじと見ていることに気づく。ジョナが男に近づくと、男はさっと立ち上がり、走り去る。ジョナは全速力で男を高架道路の端まで追った。
しかし、そこでディーンは走ってくる車の間を縫って、道路の反対側の森の中に消えてしまった。大きなため息をつき、車に戻ったジョナは息を整える。ディーンはあそこまで怖がるほどの何を知っているというのだろう?
記憶204
早朝、ジョナはディーンが父親に連絡を取ろうとすることを期待して、車で老人ホームに張り込んでいる。自分の両親に3週間以上も連絡していないと気付き、ひどく心配しているだろうとジョナは不意にため息をつく。自分が愚かであることを、自分で分かっている。彼の人生の大半において彼を愛し、育て、守ってくれた両親に、そんな仕打ちをしていいわけがない。ほんの一瞬も両親と心を通わせる時間を持たずに、長い時間を過ごしてしまった自分が、甘やかされた恩知らずな、自分の都合の良い主張ばかりする子供のように感じられた。
ジョナは老人ホームの入口を見つめながら、夕方に両親に電話をかける時間を作ろうと自分に言い聞かせた。アルツハイマーを患っているディーンの父親は、常に介護が必要だ。自分の両親が自分を忘れてしまうような人生など想像したくもない。両親に教わったすべてを生かして国と自由世界を守り、奉仕している息子を両親がどれほど誇りに思っているか。それを思い出してもらえない人生など、想像したくもない。ジョナは上司には重要な業務の右腕だと言われながらも、ほとんどの時間をデスクワークで過ごす自分を時に無力に感じていたことを、両親に決して認めなかった。
問題は、自分の仕事の傍らで左腕が何をしているのか知らないことである。それに、しょっちゅう真実の半分しか知らされていないような気がする。ジョナがここにいる理由はそれだった。
だから自腹を切って、自ら調査を行っているのだ。信号の解読で判明した企業名に関する、完全に妥当な彼の疑問が誰かの気に障ったらしい。これはジョナのチーフオフィサーでさえも見たことのない相当なレベルの反応だったため、任務を降りるようにと正式な命令が下った。そして、優秀な右腕のように、正式に新たな任務に就いたのだった。しかし、その裏で...
ジョナは自分が抱いた疑問に対する答えが欲しかった。
記憶205
日が暮れそうになると、ジョナは老人ホームの通用口から出てきた男を見つけた。ジョナは車を降りて男の後をつけると、老人ホームの裏まできたところで見失ってしまった。
またか!心の中で悪態をつき、現場での仕事をもっと学ぶべきだと感じた。デスクで数字と格闘して、パターンを探し、野球の話をするよりも、もっと現地調査に時間をかける必要がある。ため息をつき、大股で車に戻り、ドアを開けようとすると鍵がかかっていることに気づいた。ポケットのリモートを起動してドアを開けると、車に乗り、エンジンをかける。一瞬ハンドルにもたれかかり、老人ホームの入口を見つめると、自分に腹を立てる。
リバースにギアを入れようとした時、突然助手席のドアが開いた。顔に銃が突き付けられている。ジョナは動揺していたが、フードを被った男が助手席に乗り込んでドアを閉めると、きまりの悪さを覚えた。
記憶206
ジョナは手を挙げる。ディーンは長い間ジョナを見つめてから、銃を下ろす。なぜ私の後をつけるんだ?安全になったらこちらから行くと言っただろう。
ジョナは手を下した。ディーンが何の話をしているかはまったく分からなかったが、どうやら自分を誰かと間違っているようだ。ジョナは肩をすくめた。
もっと気をつけてくれないと。私がこんなに簡単に君を見つけられたら、奴らにも見つかるぞ。私を追っている奴らは、軍あがりで高度な訓練を受けている。プロなんだよ。何も気が付かないまま頭に風穴が空いているなんてことになるぞ。ディーンのマンションを捜索していた時、ジョナは奴らが来るのを見た。
なぜ俺が奴らの一味じゃないと分かるんだ?
ディーンはゴクリと唾を飲み込む。だとしたら、私はすでに死んでいるはずだからさ。まだ話す気か?底なし沼から身を引くのに、まだ遅くはないぞ。
話したい。
車を出せ。行き先を教える。
記憶207
ディーンはジョナのことをマックスと呼んだ。行方不明者の捜索をする独立組織の人間だと思っているらしい。ディーンはジョナに未舗装の道路に入るように指示し、進むと古くさびれた木の橋にたどり着いた。ジョナは森の横で車を止めると、ディーンに顔を向ける。ディーンは月光に照らされる橋をぼんやりと見つめている。
ディーンはため息をつく。父とあの橋の下の川でよく釣りをしたんだ。楽しかった。マックス、私について何を知っている?
ジョナはディーンから視線をそらした。あなたは高校の教師だった。そして廃品置き場での悲劇の後、仕事を辞めた。
あれは悲劇なんかじゃない。あの子らのことはよく知っていた。クスリでラリって殺し合ったんじゃない。馬鹿なことはたくさんしていたが、あれは違う。
ジョナは注意深く頷いた。
最初はスパイにはめられたと思ったんだが、それよりずっと大きいことに気が付いたんだ。メモしないのか?
ジョナはこめかみを指で軽く叩いた。
記憶力はいいんだ。
そうか・・・とにかく、ジョニーたちは山の中にある古い廃駅から信号を拾った。おかしな周波数に振動・・・それで、彼らは何が起きているのかを見に行ったんだ・・・駅に到着すると、そこで古代の儀式かなんかを執り行っているローブを着た狂人の集団を撮った。儀式で連中は、何が起きているのか理解できないようなヤク漬けの男を何かで突き刺していた。
ジョナは眉を上げ疑念の表情を浮かべる。
あれは、フェイク映像だ。いたずらがバズっただけさ。
ディーンは厳粛な様子で首を振る。
そうだったらよっぽど良かったんだが。だとしたら、彼らはまだ生きていただろうからね。メディアに埋め込まれたモノマネ鳥はひとつの真実を隠すために十の嘘をついた。そして、情報源の信用を落とし、抹消した。
ディーンはジョナが生まれるずっと前に打ち切りになった昔の構想に関して言及していた。ジョナが疑い深くため息をつく。通常なら陰謀好きな男で片付けてしまうところだが、ディーンの名前は信号に暗号化するほど重要なのだ。
殺される前に・・・彼らはまた駅に行った・・・そしてあいつらが橋を破壊する前に、さらに映像を撮ったんだ。その中からいくつか映像を公開したら反応があった・・・ひとつの真実を隠す十の嘘・・・そしてインターネット上のどこかで痕跡を残してしまったようだ。
ディーンは首を横に振り、フロントガラスをぼんやりと見つめた。
この底なし沼はかなり深い・・・ものすごく深いんだ…私の団体は、とても邪悪な存在をこの世界に持ち込もうとした数人の愚か者によって危険にさらされた。
ジョナが思慮深く頷くと同時に、車の後ろ側に銃弾が当たった。ディーンはためらうことなく車を飛び出し、背の高い草を通って森の方に逃げていった。ジョナはその後を追った。
記憶208
ジョナは銃を構え、闇の中を密かに移動する。追っ手の数は二人。ディーンのマンションで顔を合わせたのと同じ連中だろう。古いカルトと危険な儀式のフェイク映像を広めている陰謀好きな男一人のために、かなりの力の入れようだ。茂みに素早く隠れると、より大きくなる着実な足音に耳を傾ける。ジョナは辛抱強く追っ手が来るのを待っている。一人はジョナを走り過ぎた。ジョナは追っ手めがけて飛びつき、リボルバーのグリップで殴って意識を失わせた。
そして闇に紛れ、もう一人を待つ。すぐにもう一人がやってくるのが見えた。ちょうど通り過ぎるところに、自分の腕を出してラリアットを食らわせる。それから、すぐさま頭に拳をお見舞いした。ジョナは立ち上がると、ディーンの名前を呼びながら、携帯のライトを使って探し始めた。
記憶209
ジョナは廃品置き場にやってきた。ディーンも同じ勘を働かせてくれればいいのだが。車から降りると、金網のフェンスを乗り越え、周りを見渡す。
つじつまが合わない。
何かがおかしい。
直感で、他の可能性があることを感じた。ジョナは、しばし頭を整理する。次に、若者が次にどうすべきか口論している様子を、古代のカルトに関する集めた証拠をどこに隠せばいいのかを口論している様子を思い浮かべる。ジョニーが封筒をつかみ、山積みになっている車の中に消えていく。
ジョナは山積みの車を見つめ、ここに何かが隠されているのだろうかと考えた。警察が見過ごしてしまった何か。まだディーンが捕まっていなければ、姿を現すまで時間の余裕がある。
記憶210
ひとつの真実を隠す十の嘘。 確かにあり得る。 諜報機関がまだ発達段階で、 指令
が曖昧だった頃、 部署がストンパーやカーターみたいなサイコパスによって仕切
られていた頃であれば、 当局ならやりそうなことだ。 多くの命を絶ったこれら機
密の部署や実験は、公式には閉鎖されてきた。 しかし、 非公式には…. 完全に閉鎖
されたとはジョナは言い切れなかった。
非公式に、 プログラムは政府の他の支部に移った可能性もあるし、 あるいは諜報
機関の多様な一区画に名前を変えて移されたのかもしれない。 ジョナには分から
なかった。 正確な事実は謎だ。
ため息をつくと、ディーンの話の裏付けとなる証拠の捜索は無駄だと感じ、ジャナは諦めた。解体されたトラックのボンネットに飛び乗り、仰向けに寝転び、星を見つめていると、何か非常に恐ろしい感覚が湧きあがってくる。自分がディーンに会うことはもうない。他の誰も彼に会うことはないだろう。あの教師はいなくなってしまったのだ。何らかの機器を購入し、駅まで自ら確認しに行くしか、真実を知る方法はない。
家に戻ってこの話をすべて忘れたいと思っている自分がいた。しかし、もう片方の自分は真実を知りたがっている。知りたい。なぜ自分があんなにも急に任務を降ろされたのかを知る必要がある。左腕は右腕がしていたことに気づかなくて、パニックを起こしたのだ。そのパニックは、ジョナの中で奇妙な感情を起こした。諜報機関が反政府勢力を結成して資金を提供し、地域を不安定化させ、政府に武器を売っているという忘れ去られた噂が再び持ち上がったとき、その同じ感情が湧きあがってきたのだ。
それを考えるだけで、もう仕事を辞めて、父と一緒に農業をやりたいと思った。しかし、ジョナは今まで物事をやめたことはなかった。そして、自分が中から危険分子をあぶり出す完璧な立場にいることを認めざるを得なかった。歯止めをかけることさえできるかもしれない。自分が辞職することは、この危険分子に好きなようにさせて、堕落を招くことになる。それは許せない。それが二重の生活を送ることを意味したとしても、国に対して背を向けることはできなかった。そもそも二重生活ならもう送っている。考えれば考えるほど、人生の大変な時期に差しかかっていることに気づいた。これは...人生をかけた戦いかもしれない。