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【DBD】ガブリエルソーマのアーカイブストーリー(背景物語)【学術書16】

\かんたんなタスクをクリアするだけ/

 

この記事の要約
DBDの学術書16で解放される「ガブリエルソーマ」の過去が描かれている背景物語のご紹介。

 

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きまぐれ

「ガブリエルソーマ」の背景物語が知りたい!っ方はぜひお読みください!マッチングの待ち時間なんかにもぴったりです。

学術書16で解放されるガブリエルソーマの背景物語

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アーカイブストーリーと一緒に解放された、ガブリエルのアーカイブムービーになります。ぜひ合わせてご覧ください。

ガブリエルソーマ「記憶の断片」

記憶の断片2256

これは・・・食べられるかな。

ガブリエルが緑色のフワフワした球体を手に取り、振り返ってそれが落ちてきた木を見上げる。まだダメよ。

科学士官のサラがとがめるようにガブリエルを見ると、彼はその球体を地面に落とした。それが触って安全なものかも、まだ分かっていないのよ。

保護手袋をしているから大丈夫さ。

でも、それを消毒しなきゃならなくなったわね。

わかったわかった。俺が悪かったよ。確かにペースト食は味気ないし、誰でも新鮮なものを食べたいのは分かるわ。でも、食料拠点の準備が整って稼働するまで、食べるものはあれしかないの。未知の惑星の木になった果物を食べて、死んでもらったら困るわ。

でも、それを検査してみてくれるかい。安全かもしれない。

わかったわ、ガブリエル。私の優先事項に追加しておく。あなたのために特別にね。でも、約束してちょうだい。おいしそうに見えるからって、なんでも拾い上げるのは止めるのよ。

記憶の断片2925

ガブリエルは一面に広がる青々とした平原を見渡した。彼のそばでは2体のHux-A7AIユニットがプレハブ小屋の資材を抱えながら忙しそうに動き回り、所定の場所にドリルで穴を開け、資材を埋め込んでいく。彼は湿り気のある新鮮な空気をゆっくりと吸い込みながら、思いを巡らせる。

A7、野球場を作るだけの空き地はあるかい?

A7は作業を止め、ほんの少しの間、答えを探した。プロリーグの大きさだと仮定し、東北東のラインに沿ってホームとセンターを位置づけると仮定すると、左側にフェンスを構えた野球場を設置できるだけの空き地があります。

子供のころの思い出がガブリエルの脳裏に浮かんでくる。彼は2塁から目を細めて打者を見ている。投手がボールを投げる。打者の打ったボールが彼の左の開いた空間に飛んでくる。彼は足を踏み入れ、ポール目がけて飛び込む。ボールがグローブに当たって空中を舞う。彼は地面を蹴って体をよじらせ、落ちてくるボールの下にグローブを差し出した。アウト。チームがゲーム終了を決める最後のアウトを祝い、母親の歓声が彼の耳に入る。

野球場を作るのに、どれぐらいかかるんだい?

この土地は農業用に指定されています。リクリエーションのために土地を使用することはフェーズGまで禁止されています。現在のペースだとフェーズGまで13年5ヵ月と3日です。

彼はため息をついて立ち上がると、終わりのない作業リストに目をやった。そろそろ仕事に戻るか。やることは山積みだからな。  

記憶の断片2355

巻き戻して、再生。動画がもう一度再生される。ホートンが右手でボールをキャッチし、ボールを左手に持ち替えて一塁に投げる。

この動画は反転編集されたものかい?

コンピューターが即答する。これはオリジナルの動画です。

でも、ホートンは右利きだったはずなのに…百科事典の記事にはこう書かれている。リッチー・ホートンはポートランドパロッツで先発の遊撃手として活躍した。オールスターに8回選出され、殿堂入りを果たした唯一左利きの遊撃手である。

ガブリエルは目を閉じると、勝利を決めた彼のプレイを今でも正確に思い出すことができる。それは、ホートンがボールを左手から右手に持ち替え、ボールを投げる姿だ。自分は、好きな選手の利き手がどっちだったか忘れてしまったのだろうか?

彼がこういった細かい食い違いに気づくのは、これが初めてではない。彼はいつも間違って覚えていたことにするのだが、それならどうして彼はどんな細かいことでも鮮明に覚えているのだろうか?誰かが過去について話すとき、いつもどこか不確かなところがある。彼らの記憶はどこか不鮮明で、曖昧だ。一方、彼が昔話をしようとすると、なんでも5分前に起きたことのように細かく思い出すことができた。

次は、89年に彼のチームが優勝しなかったと言うんじゃないだろうね…..

89年のファイナルでは、7戦目でシャーロットシープがポートランドパロッツを倒し、優勝している。

記憶の断片2607

ドミトリは、そこに存在しないものを探すかのように、端末に映し出された3Dホログラムを見つめた。

なにも問題は見つからないな。君が期待した答えではないと思うが...

納得できないような顔でガブリエルがドミトリを見つめる。本当に?全ての検査をしてくれたのかい?

どんな問題が見つかるはずだと言うんだい?君のバイタルサインに問題はない。脳の機能も正常だ。君の体はいたって健康な状態だよ。

でも、なんだか気がおかしくなりそうなんだよ。自分がしっかり覚えていることを本で調べてみると、自分の記憶と食い違っていることがあるんだ。

それは認識能力のセッションで話すようなことだな。身体検査じゃなくてね。

ガブリエルは何かを言おうとして口を開け、言葉を探すが何も出てこない。なんとかして自分の言うことを真剣に聞いてもらわないと・・・

君のほうはどうだい?

ドミトリがようやく自分の端末から目を離し、ガブリエルのほうを向いた。私のほうがどうしたって?

君は…奇妙な食い違いに気づいたことはあるかい?

ドミトリは少しの間ガブリエルを見つめ、ため息をついた。そして戸棚を探してハイポスプレーを取り出した。作業時間が終わったら、これを服用するとといい。作業前でも作業中でもなく、作業の後にね。

それは役に立つかな?

少なくとも存在もしない問題を考えることはなくなるだろうね。  

記憶の断片2998


ガブリエルがよろめいて床の上に倒れ込む。この薬の効果は尋常ではない。彼は、頭の中が砂で埋まり、膝までゼリーに浸かっているような錯覚に襲われた。

彼はボトルを掴み、寝室のドアの外に放り投げた。これ以上あの薬を飲むもんか。ドミトリに俺を助けるつもりはない・・・俺の口を塞ごうとしているだけだ。彼は何を知っているんだ?何を隠そうとしているんだ?

ボトルが床の上に落ちるとすぐにHuxユニットが歩み寄り、そのボトルを拾い上げる。そしてガブリエルのほうを見た。というよりロボットは彼を見つめている・・・そんな気がした。

なにを見ているんだ?

ロボットは返事を考えているのかピクリとも動かない。そして我に返ったかのように振動し、やりかけの作業を再開する。ロボットはボトルをスキャンしてから医務室のほうへと歩き出す。

待ってくれ。

再びHuxの動きが止まる。そして音を立てずに振り返り、ガブリエルと視線を合わせる。ガブリエルはすぐには言葉が見つからず、視線を下に向ける。

俺は誰だい?

あなたはガブリエル・ソーマです。ドヴァルカの植民地化計画に派遣された技術者です。他に何かお手伝いできることはありますか?

俺は何歳だ?

生物学的には35歳です。他に何かお手伝いできることはありますか?

生物学的にはだって?

はい。宇宙旅行と極低温睡眠の影響で、あなたの生物学的な年齢と実際の年齢には差が生じています。

じゃあ、俺は実際には何歳なんだい?

Huxが答えを探す作業に入る。その質問にはお答えできません。他に何かお手伝いできることはありますか?

いいや、以上だ。ゲイブは寝室のドアを閉め、ベッドに崩れるように横たわった。そして翌朝までぐっすりと眠り続けた。

記憶の断片2424

ドミトリはすぐに戻ってくるだろう。今ごろ彼は、食堂でしかめっ面をしながら一人でペースト食を飲んでいる。そして本を数ページ読んだら、またこの場所に籠るだろう。ことを早く済ませなければ。

ガブリエルは端末を起動し、診断モードを有効にするコマンドを入力した。彼に言わせればそれは明らかなセキュリティー上の欠陥だったが、修理担当者がそれを利用するとは誰も思わなかったのだろう。

画面のグラフィックが消えてコマンドプロントが表示される。彼は音声コマンドを使って、素早くシステムのディレクトリを選んでいく。そして「SOMA_BIO」というフォルダにたどり着く。彼はそのフォルダをデータチップにコピーする。残り時間は2分。彼はコンピューターのコンセントを引き抜き、再び差し込んだ。初期画面が表示される。これで、誰も自分がここにいたことに気づかないだろう。

ガブリエルは急いでドアから出る。そして左に曲がって、肩越しに後ろをうかがう。誰にも見られていない。彼は自分の部屋に駆け込んでサムドライブを差し込み、医療記録を開けた...

こんな怪我をした覚えはないぞ。

そこには数々の怪我を負った経歴が記載されている。死んでもおかしくない程の重傷もある。

誰かが部屋のドアを叩いた。ガブリエルは端末からデータチップを引き剥がし、飛ぶように立ち上がった。ドアを開けると、そこにはドミトリが立っている。

ゲイブ、ちょっといいか...

緊張でガブリエルの全身がこわばる。自分のしたことがバレたら、ここで逮捕されてもおかしくない。

ああ、なんだい?

オフィスの騒音を直してくれてありがとう。あの音がうるさくてイライラしてたんだ。

ああ、そのことか。気にしないでくれ。自分の仕事をしたまでさ。

助かったよ。君がいてくれなかったら、ここじゃどんな仕事も終わらないだろうな。  

記憶の断片9102

ガブリエルの母親は彼の耳を覆うように柔らかい毛皮の帽子を下に引っ張る。こうやって下げておけば、寒くないでしょ?

うん、お母さん。

今日のサイエンスフェアは楽しみ?

ガブリエルは母親の顔を見てニヤリとする。きっと賞がもらえると思うんだ。

大切なのは、できる限りのことをすることよ。

そう言った母親の体が、一瞬固まったように見える。その目は彼の目を見つめたままだ。その表情は他人のようで、思いやりが感じられない。帽子は彼の頭に重くのしかかり、その毛皮は冷たい金属のようだ。

彼の目に涙がこみ上げてくる。彼は瞬きをして、その涙を払おうとする。目の前がまたはっきり見えるようになると、そこには心配そうな母親のまなざしがあった。大丈夫?

うん、大丈夫。

よかった。今日だって、きっとうまくいくわ。ガブリエル、母さんはあなたが大好きよ。

~おしまい~