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【DBD】フェン・ミンのアーカイブストーリー(背景物語)【学術書17】

 

この記事の要約
DBDの学術書17で解放される「フェン・ミン」の過去が描かれている背景物語のご紹介。
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きまぐれ

「フェン・ミン」の背景物語が知りたい!っ方はぜひお読みください!マッチングの待ち時間なんかにもぴったりです。

学術書17で解放されるフェン・ミンの背景物語

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アーカイブストーリーと一緒に解放された、フェン・ミンのアーカイブムービーになります。ぜひ合わせてご覧ください。

フェン・ミン「記憶の断片」

記憶4010

祖父がシワだらけの振るえる手を伸ばし、ミンの黒い碁石が固まっているそばに白い碁石を置く。盤上のどこに石を置くも祖父の自由だったが、彼はその中でも最悪の一手を打った。

おじいちゃん、私の石を取りに来てるフリをしてる。バレバレだ。

私を勝たせようとしているのね。また固まりのそばに石が二つ置かれた。今ならミンは祖父の石を相当数取ることが可能だ。だが、彼女は誘いを全て無視して、自分の黒い石をそれらから遠く離れた盤上の角に置いた。

ミンは祖父の拗ねたような視線を長い間浴びせられた。やがて祖父が次の一手を打つと、またしても白い碁石が黒い固まりのそばに置かれた。取れと言わんばかりだ。ミンは祖父に言いたかった。

「やめてよ。私、もう11歳だよ。子供扱いしないで。実力で勝ちたいの」

人であふれる街の通りで日が傾きかけていた。これがおそらく、階下に父が迎えにくるまでにできる最後の勝負だ。この午後はずっと、ミンが知る限り一番の囲碁棋士である祖父に負け続きだった。

ミンが白い碁石の固まりを再び無視すれば、また意味のない位置に石が置かれた。祖父はミンの反応を無視し続け、また黒い石の固まりのそばに石を置いた。

怒りが再び込み上げてくる。ミンは座ったまま、指でテーブルをトントンと叩いた。ざらざらした石のひっかかりを指の先に感じる。

ミンは父に礼を失した態度を取るたびに、何度もその報いを受けてきた。口答えをしたとき、言うことを聞かなかったとき、優しくできなかったとき。尊敬は勝ち取るものだと考える自分がおかしいように思えた。

けれど、彼女は祖父に冷たくしたことはなかった。ただの一度も。ミンは白い石の固まりの角に自分の碁石を置くと、祖父の望み通りに勝負を進めた。

祖父のしかめっ面が、微かな笑みに変わる。祖父はさらにわざと取りやすい位置に碁石を置いた。

太陽がビルの向こうに沈むと、ミンは祖父を相手に初めての勝ちを記録していた。そして時計のような正確さで、父が集合住宅の外に姿を現した。腕組みをしながらこちらを見ている。祖父は愛おしそうにミンの頭をなでた。

誕生日おめでとう、ミンミン。

記憶3011

ミンの足音が誰もいない教室に響く。リウ先生に話があったが、他の生徒たちがいる前ではしたくなかった。

どうかしたのかい、ミン?リウ先生は書類を整理しながらこめかみをさすった。


先生。私は両親から他人の問題には首を突っ込まず、また他者の振る舞いで頭を悩ませることのないよう教わってきました。でも、これはお話ししておくべきだと思1っています。学友のチェンが不正行為をしています。

書類を移動させていたリウ先生の手が止まる。ミンの話を聞く気になったようだ。

なんだって?

チェンは上級生にお金を払って、前回の試験の回答を買ったんです。こういうことを結構前からやっているのではないかと思われます。だから彼は、あそこまで高い成績を収めているんです。

リウ先生はミンを小馬鹿にするように笑うと、かぶりを振った。

どうされたんですか、先生?

君も不正をしているのだろうね、フェン・ミン。

ミンは心臓が冷える思いがした。私は一度も不正なんてしていません。

そうかな?君の成績は当のチェンよりも高いじゃないか。これについてはどう説明する気なんだい?

まるで異星人と話をしているようだ。それは私が勉強しているからです。一生懸命やっているからですよ。

リウ先生はすでに腰を上げ、書類をブリーフケースに入れているところだった。あこのね、あと数年もすれば普通高等学校招生全国統一考試だ。君のクラスメイトだって、みんないい結果を出したいと思っているはずだよ。自分たちの未来がかかっているんだからね。

おっしゃっている意味がわかりません、先生。

リウは再びこめかみをさすった。だから、「君のご両親が正しい」と言っているんだ。

一時間経ったことを知らせるチャイムが鳴った。ミンは教室を後にし、教科書を持つ手に力を込めた。二度と学校に通わなくていい日が早く来てほしいと、切に願いながら。  

記憶4868


『怪獣降臨』、まだやってるんだ?

メイの言葉にはトゲがあった。丸一日、レーザーベアーのチーム交流会に参加しているが、ミンはまだ馴染めずにいた。メンバー全員の視線が彼女に集まり、“正解”の返事を待っている。

あなたはもうやってないってこと?

これは正しい答えではなかった。

メイはわざと大きな音が立つようにポバ(タピオカティー)をテーブルに置いた。ええ、やってないわ。私、収入につながるゲームしかやらないから。

他のゲームをやる時間はつくらない、の間違いでしょ。

またしても正しい答えではなかった。

メイはかぶりを振る。ウェンリン。この子、何もわかってないみたい。

ウェンリンは落ち着いた様子で、今にも爆発しそうなメイの怒りを鎮めてみせた。

ねぇ、ミン。昨日やった10時間のトレーニングセッションあったでしょ?あれが私たちにとっての“普通”。試合に勝ったり、タイトルを獲得したり、スポンサーについてもらったりするのに必要なことなの。今こうして、おしゃべりしながらボバを飲んでいる時間。これは私たちの“後れ”につながる時間よ。『ネビュラアーク』以外の何かをしている時間は、全部そう。

ミンは、うつむき気味でボバを一口飲むランとダイユウに顔を向けた。二人とも気を揉んでいる様子だ。彼女たちとは先週会ったばかりだが、どこかぎこちない印象だった。よそよそしいというのだろうか。だが、今ならその理由がわかる。

二人は単純にゲームがしたいだけなのだ。

ウェンリンの話はまだ続いていた。私たちの言ってることがわかる?レーザーペアーに貢献するつもりなら、『ネビュラアーク』に全てを捧げるのよ。他のことなんてやってる暇ないの。『怪獣降臨』も例外じゃないわ。

ミンが物心ついたときから、『怪獣降臨』はそこにあった。子供の頃はアニメも見ていたし、実家にある自室のクローゼットには今もバインダーいっぱいの怪獣カードが眠っている。ヒロの衣装を自分でつくったこともあった。ロコの絵をノートに描いたりもしていた。そしてMOBAをプレイし始めて以降、やめ時がわからなくなるくらい楽しんだ。

今だってこれっぽっちもやめたいと思わない。

ウェンリンはミンの手に自分の手を重ねた。嫌なら嫌だと言えばいいわ。中には、単なるゲームだと思ってチームに入る子もいる。そういう子は長くは続かない。逆に頑張りすぎてしまう人もいるわ。ノンストップで無理に練習を重ねて、バーンアウトするまで限界を超えようとしちゃうの。この仕事は誰にでもできることじゃない。でも、あなたはネビュラのディフェンダーとして本当に優秀よ。あなたならショックデーモンからチャンピオンの座を奪う戦力になる。そして私たちなら、あなたを一生これで食べさせてあげられる。

一生”。ミンは20年以上も同じアパートに暮らしている両親のことを思い浮かべた。それと未だにバックパックの底に詰めてある、赤ん坊の頃から好きだったディノイドのぬいぐるみのことを。

少し考える時間が必要かもね。ミンは自分の力の強さを証明できる程度に、ウェンリンの手をきつく握った。

いいえ、考える時間なんて必要ないわ。

記憶2230

ミンは地面に下ろされていく棺に背を向けた。母がミンの手を強く握ると、二人は雲一つない空を見上げる。

祖父が入院したとき、ミンは碁盤を持って行った。祖父と対局できるのはこれが最後になるとわかっていたからだ。

ミンはデニムの下に『ネビュラアーク』のレギンスをはいていた。この日のフェン・ミンは、少しばかりシャイニングライオンの力を借りる必要があったのである。

ほとんど目も開けられず、息も絶え絶えだというのに、祖父は今なおミンの知る最強の囲碁棋士だった。祖父は咳に苦しむ中、一度だけ敗北につながる間違いを犯した。

しかし、ミンはそれを見過ごす。祖父と同等の隙を見せ、彼が勝ったときにはそれを祝った。

祖父はもう一局やりたがったとき、ミンは涙を拭った。

何よりミンは、父が廊下で待っていることを知っていた。彼女が部屋から出てくるまで、絶対に入室することはあるまい。

ミンは父が黄色と白の菊を祖父の墓に添えるのを見つめていた。そこから時間が飛び、今度は未来にいる自分の姿をミンは見ていた。墓の前に立つ彼女は、やはり黄色と白の菊の花束を強く握りしめているのだった。

記憶1629


まさか自分の家の玄関先に、この人が立っている日がこようとは。

あら、父さん。

父はこの家の住所が書かれた分厚い封筒を手に持っている。ミンは胃が沈むような気がした。どうやら彼女が思っているような嬉しい再会とはいかないようだ。

これについて何か知っていることは?父がミンの足元に封筒を落とすと、中から何枚かの紙幣がはみ出した。

ミンは身をかがめ、父が散らかしたものを片づける。私からだとわかったら、受け取ってくれなかったでしょう?

匿名の寄付なら受け取るとでも思ったのか?施しを受けるいわれはない!何か出そうか?ウェンリンたちもまだ朝ごはんを食べてるところだし。

ミンは廊下に出るとドアを閉めた。父は強張った顔に冷笑を浮かべている。

お願いよ、父さん。受け取って。力になりたいのよ。

この金は、おまえがまともな大人になろうとしたときに必要になるものだ。

どうしてわかってくれないの?これが私の仕事なの。しかも向いてるんだから。私、幸せだよ。

嘘だ。おまえの目を見ればわかる。今のこの人生はおまえを幸せにしない。絶対に。おまえはただ一ドアが開くと同時にミンが振り返る。そこにはウェンリンとメイの姿があり、陽気な笑みを浮かべながら手を差し出していた。

おはようございます!あなたがミンのお父様ですか?

ミンは仲間二人が自己紹介をし、順番に父と握手する様子を呆気に取られながら見ていた。

こんなことはあり得ない。

メイはミンの肩をきつく抱き寄せる。一度でいいから、すばらしい娘さんを育てられたとお伝えしたかったんです。こんなに献身的で勤勉で、その上親切だなんて、こんな子には今まで一度も会ったことがありません。

父が何か言葉を発しようとしたが、ウェンリンのほうが速かった。

娘さんのおかげで私たち、三回も優勝できたんです。次もまた優勝できたら、世界記録を達成できるんですよ。お父様もきっと鼻が高いでしょうね。

どうぞ、お上がりください。メイが手でドアのほうを示す。ちょうど朝食を食べ終えるところでして。お腹が空いていらっしゃるようなら、たくさんありますよ。ついでに私たちが取った賞もご覧になっていかれませんか?

ミンは皆について父が家に上がるのを待ったが、父は一歩も動かない。彼はミンを見据え、彼女自身が中に招き入れてくれるのを待っているのだ。

こんなふうにキラキラした父の目を見たのは初めてだった。

良かったら上がっていかない?  

記憶3409

いよいよだ。ついに決勝戦の朝がきた。きっと4つ目のトロフィーを手にしてみせる。遅くまで起きていた日々も、きっと実を結ぶことになるだろう。

そうしたら悪夢も見なくなるかも。

瞬きをする。

都市交通なんて最悪だ。ミンの大嫌いなものである。あと一時間でスタジアムに着けなかったら...

ミンは車線から車線へと縫うように走り、追い越し車線のスペースを取っているのろのろ運転の車を回避していった。

絶対に間に合うんだから。

瞬きをする。バンの後部座席にいるレーザーペアーのメンバーたちは無言のままだ。私には無理だと思ってるのね。こいつらが雇った運転手がすっぽかしたりしなければ、こんな面倒なことになってない。それか一人でもいいから運転を習っていれば。

瞬きをする。

今日こそ私の力を見せつけてやるわ。決勝を勝ち抜くことができたら、それはみんなじゃなく私のおかげ。世界記録の証はこいつらの部屋なんかじゃなく、私の部屋に飾られることになるのよ。そもそもこいつらには...

瞬きをする。

ミン!

今のはメイだ。バンが中央分離帯をこする間、他のメンバーは泣いたり叫んだりしている。運転席のドアに火花が散った。

いけない。

ミンの本能が働き、思いっきり右へとハンドルを切る。タイヤが甲高い音を上げ、女たちが叫ぶ。聞くに堪えないひどい音だ。ミンがタイミングよく視線を移した先には、弾丸のようにこちらに突っ込んでくる黒いSUVがあった。

意識を失い、暗闇が広がる中でフェン・ミンは祖父の夢を見た。二人で囲碁を、『怪獣』を遊んでいたときの夢を。

記憶4771

ビールを飲み終えたミンはカウンター席を後にする。酒を飲むと特定のディティールに集中できるようになる。例えば空気中に浮遊している水滴や、それが作り出す春の霞。さらに頭上に掲げられた巨大な看板のネオン光が、その霞に反射している様子などだ。

夜になってもこの街には完全な暗闇がない。

だが、飲むことでミンに起きる変化はこれだけではなかった。目の前の霞を見据えると、歩道を下って行く自分を内側から見つめるような気分になるのだ。このときの彼女はフェン・ミンではなく、フェン・ミンの中に囚われながら彼女を操る存在だ。フェン・ミンの目に映るものは、彼女にも見える。

周りが開けているおかげで息がしやすい。

体勢を崩して前方によろめいたミンは、膝周辺の靭帯が捩じれるのを感じた。この膝は否が応でもあの事故を思い出させる。決して忘れることはできない。

仲間たちの叫び声。病院の廊下に響き渡る自分自身の嘆きの叫び。終わりの始まり。

誰かが急ぎ足でミンのそばを通り過ぎながら、肘で強く彼女を突いた。消えろ、負け犬。

ミンは拳を握りしめて振り向く。戦うつもりでいたのに、視界がひっくり返るほうが速かった。

そうして歩道に転がったミンの脳裏に、先程の言葉がこだました。

負け犬。

負け犬。

負け犬。

横向きに倒れたミンは、音を立ててアスファルトに頭を打ちつけた。

全てを失ってしまった。そして毎日少しずつ、さらに何かを失っていく。

ゲームオーバー。最初からやり直す。

それくらい簡単だったらどんなに良かったか。もしやり直すことができたら。いろいろ変えることができたら。二度と負けずに済んだなら。

全てが暗闇に包まれる。歩道に流れる血も、空気中の霞も。もうこのまま目を閉じてしまえばいい。

明日になれば、きっと何かが変わっている  

フェン・ミン詳細

入手方法 【PC版】・DLC「SparkofMadness」698円
【CS版】・最初から使用可能
値段 【ゲーム内ストア】
・500オーリックセル
・9000シャード
解説ページ

フェン・ミンの固有パークと背景ストーリー

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