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【DbD】ハントレスの過去(記憶)を覗いてみよう「学術書Ⅲ/アーカイブ物語」

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きまぐれ

本日は学術書Ⅲで解放される「ハントレス」の記憶(物語)のご紹介です。スキマ時間にお読みいただければと思います。

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【DbD】ハントレスの過去(記憶)を覗いてみよう「学術書Ⅲ/アーカイブ物語」

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【素晴らしき戦争】 ハントレス/アナ

記憶2432

夜明けの光がクレーターや塹壕を照らし、その光は見るも無残な姿の森へと差し込んだ。爆発が地面を裂く。泥が噴き上がり、アナに降り注いだ。

人々は腐敗した死体で埋め尽くされたクレーターへ、頭から転がり込む。細切れになった人間 や馬の死体は、ネズミのご馳走だ。他の者たちはバラバラに弾け飛んだ。泥や血で溺れる者もいる。

人間という生物の残虐性はアナを楽しませる。これほど快楽を感じたことはなかった。死骸を巡って争う腹を空かせた狼より酷い生き物だ。彼女の理解できる言葉を話す者もいる。聞き慣れない言葉を話す者もいる。聞いたこともない痛ましい叫び声が突然あがり、彼女を驚かせる。その声の元へと目 を辿らせると、破壊された森の中にロシア兵が捕虜を監禁している小さなテントが見えた。彼女は夜通しそれを観察した。

夕飯のために馬を1頭屠るのを見て、彼女は震え上がった。捌くのが下手すぎて随分と肉を無駄にしてしまっている。タ食後は、ロシア兵たちは暇つぶしに捕虜の1人の頭をシャベルで叩き潰す。ジョー クに笑いながら。彼女は影からそれを観察し、声もなく笑う。一緒に笑うのではない。嘲笑っているのだ。

シャベルではつまらない。叩くのもスマートではない。そのような死は...汚いだけ。魚や精肉じゃあるまいし。母からはもっと上手 いやり方を教わっている。

記憶2433

また別の人間の群れを探そうと思っていたところに、何かを目の端で捉えた。父親のことを思い起こさせる何か。可愛い我が子にちょうどいいものだ。お土産だ。アナは影の中に紛れ、お土産を見据える。

ロシア兵はボロボロのテントを見張り、捕虜に悪態をつきつつ、"お土産"を研いでいる。お互いの言葉がわからないので痛めつけ合い、殺し合っている。

彼女は母が読んでくれた本を思い出す。絵を指差し、これは"兵士"だと言っていた。彼女の父親を切り刻んだのも兵士だ。兵士が殺し合う理由を、母は説明できなかった。アナは彼らを観察するが、理解できない。彼ら自身、理由を説明できるのかも怪しい。

狩りの快楽、恐怖の香り、そして血を渇望しているのかもしれない。彼女は"お土産”を見つめ、彼らに忘れることのできない体験をさせてあげたいと考えた。だが人数が多すぎる。

突然、母が目の前に現れる。可愛いアナや、まずは人数を減らさないとだめね。そんなの簡単よ。見せてあげるわ。そして彼らはザリガニさんの寝床にご招待するわ。

 

記憶2434

ロシア兵は捕虜に不可解なことをする。節くれ立った木の枝に逆さに吊るし、その下に火をくべるのだ。彼女は眉をひそめる。不可解だ。ローストするならまずは獲物を絞めないと。だが兵士たちは苦しむ捕虜を見て楽しんでいる。泣きわめく捕虜には見覚えがあった。

数か月前には、別のテントでロシア人捕虜を痛めつけていた。たった数か月前には、彼は痛めつける側だったのだ。捕虜が豚のように泣きわめく中、ロシア兵は"お土産"を手に取った。

彼女はにやりと笑う。あの泣き声はちょっと面白い。本当に。愉快だ。ロシア兵たちは泣き声を真似て笑っている。アナは大声で笑ってしまうのを堪えた。今まで聞いたこともないような 間抜けた声だった。

近寄る兵士の物音を聞きつけ、彼女ははっとした。振り返ると突き出される銃剣がギラリと光るのが見えた。それを避けると、間抜けな痩せこけた男の首元を掴む。ゴツゴツとした指を喉仏に絡ませると、力を込めて一気に引き抜く。喉を引き裂かれ、男はゴボゴボと喉を鳴らせて地面に崩れ落ちた。

彼女は呑気に笑うロシア兵たちと、ブヒブヒと鳴く捕虜へと注意を引き戻す。彼女は微笑む。間もなく、誰もが同じような声で鳴くことだろう。

記憶2435

4人の兵士が行方不明の仲間を探してテントの周辺をうろついていた。アナはその 1人の後からひっそりと、一歩、また一歩と近づいて行く。可哀そうなネズミさん。死が迫っていることに気付いていないのだ。

彼女は兵士をしばらく観察すると、わざと小枝を踏みつけた。枝の折れる音で兵士が振り返るが、アナと目が合うまでもなく、斧が顔のど真ん中に突き刺さる。歯は砕け、舌は切り落とされた。アナは血が溢れかえる口を手で塞ぎ、"お土産”を探してポケットをまさぐる。

ない。

彼女は手を放し、喉の鳴る音で残りの3人をおびき寄せた。彼らは銃剣 を構え、そろそろと近寄ってくる。アナは怒りと血の渇望で歯をギリギリと鳴らす。切り落とされた兵士の頭を3人の方へ転がした。一瞬の動揺だが、それで十分だ。

斧の一振りで2人が倒れる。最後の1人が叫びながら突進するも、一振りで頭 が胴体から離れた。頭を失った胴体が血を吹き出しながら、その頭を探すかのよ うにぐらぐらと前後に揺れる。

最後に前につんのめったかと思うと、後ろに傾き そのまま倒れた。別の何者かの攻撃が届く前に、アナがそれに反応する。左右に 斧を振るうと、その体はバラバラになって崩れた。兵士は自身の体の破片をおののきの眼差しで見つめている。彼女は笑い、母に聞かされた童話を思い出す。

ごめんね、イーツォ。

もう元には戻せないのよ。

 

記憶2436

兵士たちはアナの好奇心をそそる。ロシア人と外国人はお互いを生きたまま丸焼きにしていたのに..それなのに今は...協力してアナの攻撃から身を守ろうとしている。

彼らは彼女を殺人鬼、森の化け物だと言う。狼人間だと言う。兵士たちは、 懸命に穴を掘り、キャンプの周りに防衛網を敷く。アナはそんな彼らをもてあそぶ。一度に相手にするには多すぎる。それを重々承知している。

彼女は睡眠を奪い、精神を消耗させる。毎晩キャンプに近づいては、子守唄を歌い、狼人間のように吠える。兵士たちが狂乱の中に目覚め走り回る間に、彼女は小屋に戻り我が子と共に眠る。数時間眠ると、また戻り兵士たちを恐怖に陥れる。2日も眠れぬ日が続けば、錯乱して殺し合いを始める。

何の苦もなく我が子のための"お土産"を 手にすることができるだろう。