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【DbD】ジェイクのアーカイブ物語を見てみよう「学術書Ⅷ」【デッドバイデイライト】

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のん

こんにちわ。のんです。
本日は「学術書Ⅷ」で解放される「ジェイク」の背景物語のご紹介です。

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【DbD】ジェイクのアーカイブ物語を見てみよう「学術書Ⅷ」

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ジェイクの過去が描かれています。スキマ時間にお読み頂ければと思います。

ジェイク固有パーク

パーク名 解放レベル 優先度
鋼の意思 30 ★★★★★
魂の平穏 35 ★★☆☆☆
サボタージュ 40 ★★☆☆☆

ジェイク詳細はこちら

 

【王国の追放】記憶881

ジェイクはばら肉にかぶりつくことを想像しながら下唇を噛み締める。煙を上げ焦げ付きジューシーなバラ肉だ。彼は頭を振り現実へと思考を集中させる。

朝から一日中追い回しているイノシシ。しかし想像を頭から追い出す事ができない。こんなにも集中できないことは初めてだ…

食料のことを考えていない間は、過去、家、そして口論のことを思い起こす。もうずいぶん昔にあったことのように感じる。口論は金曜日に始まり月曜には反抗したという理由で、彼の人生彼が知っていた、ただ一つの町から追い出されてしまった。

しかしそれは反抗ではなかった。少なくてもジェイクにとっては。彼にとっては必要なものだった。いや、それ以上のものだ。

切望…ジェイクの出自を知りたいという心の底からの切望…そしてなぜ父がそれを話そうとしないかも知りたいという切望…

でも父さんをあんなに強く押す必要はなかったでしょう!必要があったんだ…そうしなければならなかった彼が何者かであることを知る権利があったんだ。

わからないのか…心にお金では埋められない空っぽの隙間があるんだ!それでも父は父自身のことを何も教えてくれなかった。ビジネスや飾り付けた上辺だけの人生に気を逸らして、あなたを育てているのよ。ジェイク…

子供を育てているの。ジェイクが踏み荒らされた草の先を見つめると頭の中に母の声が響いてくる。

ジェイク…お願い…あなたは誠実さを求めているけれど、誠実なんてものは存在しないのよ。父さんは完璧じゃないし、父さんがしたことはすべて、あなたに自分より良い人生を歩んで欲しいと願ったゆえのことよ。父さん自身の動機があるの。そして私にも動機があるわ…

ジェイクは目を閉じる。何も言わずに家を出たことを思い出す。韓国中をバックパック旅行したことを思い出す。祖父のことを知っている人々に会い、祖父が歩んだ人生の話を聞いたことを…聞いたどの話においても父がしたように過去を無かったことにすることを正当化するものはなかった。祖父は乱暴な怠け者であると思っていたが、話を聞くほど祖父は英雄化されていき、伝説とも言えるほどになった祖父は、多くの家族を救い再会させてきた。多くの人々は彼に感謝し恩があると語った。

それでも父がそれを語ることは一切なかった。

伝説の存在を嫌ったのかもしれない。ジェイク…何か別のものを求めていたのかもしれない。だがそれがどうした!今それは重要なことではないだろう。

渓谷の声が突如ジェイクを現実へと引き戻した。祖父の声…想像上の祖父の声だ。ジェイク…今必要なこと以外を考えることはやめなさい。何か食事を取らないと幻覚を見るようになるぞ!その間に合わせの槍で朝からずっと頑張っていたんだ!イノシシを狩らないと私のようになるぞ!

ジェイクは敬意を込め小さく頷くとまだ踏み荒らされて間もない草を観察した

【王国の追放】記憶882

ジェイクは茂みの中をジグザグに逃げ回る猪を追う。猪は小川の傍で突如その姿を消した。息を切らしながら、ジェイクは小走りへと速度を落とす。左、そして右と猪を探す。隠れている。父が屋根裏に隠した手紙のように、ひっそりと息を殺している。集中を切らすなよ、ジェイク...ここまで来て見失ってはならない...また見失うわけにはいかない...

なぜあのように素晴らしい手紙を靴箱の中に隠すのか、理解できない。

そうだ...手紙だ。旅立つ理由となった手紙。父の言葉を正しく理解することを思い起こさせた手紙。自分で理解したいと思い、そして理解したのだ。だがジェイク、今は手紙のこと、父のこと、そして過去のことを考えている場合ではない...狩りに集中しないと、何もかも無意味になってしまう。食料を得られなければ、自身が食われる側になるぞ。

ジェイクは顔をしかめる。祖父は決してそんなことは言わない。そのようなことは父が言うことだ。頭の中の声は、腐った残り物で作られたおぞましいシチューのようにぐちゃぐちゃになる。いつからその声が聞こえるようになったのかは覚えていないが、一人で山に入ってからいつからか、独り言を言うようになったことに気づいた。そして、それで孤独感を紛らわすことができた。

ジェイク、誰もが頭の中の声を聞いているんだ。ほとんどは気を逸らされていて間くことや気づくことができないだけだ。聞こえている者たちは馬鹿にされることを恐れて言わないだけだ。

ほとんどのジェイクに聞こえる声は、家族のものや古い友人のもので、有効的な、ものだった。しかし、だんだんとジェイクがなす事すべてに疑問を投げかけるような声が増えてきた。

そして、ここ二日ではまた新たな声が聞こえるようになってきた。ジェイクが嫌悪する高校での英語教師のように、重箱の隅をつついて小馬鹿にするような声」だ。ジェイクが興味を持たないようなくだらないものを読ませ、単語を間違えたり、逆に読んでしまったり、彼女に見えないものをジェイクが主張すると「ごちゃ混ぜ君」などと呼んできた教師だ。だが彼女が存在しないと主張するものは、実際に存在するのだ。その教師には想像力や物事を見通す力が足りなかっただけ。

ジェイクには、あの教師は別の思想や視点で文学を志そうとする者を否定するために存在しているという確信があった。父はジェイクと教師との間の問題をまったく意に介さなかった。英語教師だろうが何の科目の教師だろうが。

関係ない。

どんな話題だろうが関係ない。

ただ教師が聞きたがっていることだけを聞かせればいい。彼女を上司だと思い、評価を金だと考えろ。彼女の案や意見をオウム返しにすれば、金をたんまりと手にすることができる...ボーナスや昇格もあるかもな。

従うのは容易な提案だ。

しかし、父の提案は、毎日のように強制される物語や科目において、ジェイクの疎外感を改善するものではなかった。否定することはできないものとして読み、記憶するように言われた文学や歴史に対する興味は湧かず、ジェイクの部外者のような感覚は消えなかった。コンクリートのように流し込まれる事柄には全体的に大きな視点が欠けているように思える。そのために部外者のように感じてしまうのだ。

だが、それは今重要なことか?
重要ではない。

過去のことは過去に置いて、今やるべきことをやるんだ。

やっているさ。

よく聞けよ、お兄さん...日が暮れ始めている。自分で自分と会話するほど精神がやられている。細胞が共食いを始めそうな状態だ。集中しろ。

【王国の追放】記憶883

ジェイクは岩の上に腰掛け、黄金に輝く夕暮れの空を鷹が舞うのを見つめる。ため息をつき、胃が採れるような感覚に襲われる。何か食べるものを…何でもいい...狩猟用具点で無料のグラノーラ・バーをもらわなかったことを後悔する。何を証明したかったのかは未だにわからない。誰に証明したかったのかもわからない。彼のようになれるのか、確かめたかったのかもしれないな。

以前はトレイルミックスや他のスナックを持ってきていたじゃないか。今回は何が違うんだ?

ジェイクは深く不安げなため息をつく。わからない…

鷹は暗くなりゆく空を切り裂くと、突如滑空して小川の傍でその姿を消す。ジェイクはしばらくそれを見つめ、決断した。槍を掴んで跳ね起き、チョロチョロと流れる小川の方へそろそろと歩み寄る。

倒れた樹の傍らで、鷹が羽根や骨をつついているのが見える。ジリジリと詰め寄ると、ジェイクは槍を掲げて投げつけた。槍は地面に刺さり、鷹は残骸を残して、空へと飛び上がる。残骸…残骸でもいい。今は。

ジェイクはベタベタの肉と羽根の塊の傍に跪く。鼓動が波打つような赤色から放たれる刺激臭を匂う。ベタベタのはらわたを掴み、皮と骨を取り除く...骨はニヤつく猪の牙のように白い。

ジェイクはイラつきのため息を吐き、頭を振る。猪が表情を見せることがあるのかなんてわからない。もし見せるならば…あの猪は確実にニヤついていた。いや...ニヤつくなんてもんじゃない...大笑いしていた。

大体、この鳥は何なんだ?

何でもいい。ジェイクはマッチを取り出し、内蔵を焼く。鳥で作った焼きプリンと言ったところか。

マッチを買ったのにグラノーラ・バーは買わなかったのか?

何を考えていたのだろう。

お前は彼とは違うんだ、ジェイク。

わかってるさ。

彼は自然の中で亡くなったんだ。

彼は行方知れずになったんだ。

同じことさ。

俺はそうはならない。

 

【王国の追放】記憶884

ジェイクは猪を追いながら、吐き戻した悪臭のする鳥の味を口から追い出そうとする。胃に入れようとするものはほとんど体が拒否したが、飢える細胞にいくらかの栄養を与えることができたことには有り難みがあった。どこかも分からぬ場所で、人々の案内やケアをすることなど想像もできなかった。なぜ彼はそれができたのか?どうやって食事を与えたのか?兵士に追われる中で、どうやって人々を引き連れて森から抜け出したのか?

ジェイクは突如立ち止まると、いくつか折れた枝があることに気づく。そして聞こえた。

鼻を鳴らす音だ。

聞き逃してもおかしくないほど小さい音だが、聞こえる。カサカサと揺れる茂みの方に向き直り、目を細めて観察する。鼻を鳴らす音が次第に大きくなっていく。俺を笑ってやがる!クソ野郎が、俺を笑ってやがる!

お前には無理だ、クソガキ!

それはどうかな!

ジェイクは揺れる茂みに向けて槍を投げつける。甲高い鳴き声が聞こえ、猪がヨロヨロと逃げていく!

ジェイクは素早くその後を追う。小さな洞穴まで赤い血が続いていた。ジェイクは自分に笑いかける。今晩は飯にありつけることを確信した。奴もいよいよお終いだ!

本当か?

あの洞穴は前に捜索したはずだ…他に出口はない。後は時間と忍耐の問題だ。

そして集中しろ...ジェイク…集中するんだ…

【王国の追放】記憶885

ジェイクは1時間ほど経ったことに気づく。身動きや、逃走の試みはなさそうだ。申し分のない相手だ。ジェイクより忍耐力があると思っている。

悪くない計画だ...実際に逃げられるかもしれない。俺は猪の方に賭ける。

その賭けは負けるぜ。

ジェイクは打てる手を考える。そして小さなスコップをリュックから取り出すと穴を掘り始めた。コバルト色の眼に見つめられているのを感じ、ニヤリと笑う。少しばかり時間はかかるだろうが…この落とし罠で優位に立てるだろう。

祖父が助けた人々が言うには、祖父は小さな空き地で見つかることを避けるために短いトンネルを掘ったらしい...トンネルを掘ったのだ...小さな穴を掘ったところで比較にはならない。

それより理解できないのは…スコップを持ってきた…マッチも…それなのにグラノーラ・バーはなしだ…一体何を考えてたんだ?

何も考えてなかったのかもしれない。

お前は矛盾を描いたような奴だな、ジェイク。

そうかもな。

迷子になって孤独になるとやってしまう馬鹿げたことだ。

俺は迷子でも孤独でもない...自分が望んだ場所にいるんだ。

はい、はい。お前が道を見失ったのではなく、人類が道を見失ったから見限ったんだったな。信じたいことを信じればいい...だが結局は…彼がお前の父親だ。

あいつは俺に手を差し出そうともしなかった!

お前は古い傷に塩を塗ったんだ。神経に触ったから反応しただけだ。

あいつの父は英雄だったんだ!

英雄なんて欲しくなかったのかもしれないぞ、ジェイク。父親が欲しいだけだったのかもしれない...生きて、一緒に過ごすことのできる父親を...お前にいるような父親を。

【王国の追放】記憶886

ジュージューと音を立てるバーベキューグリルとターコイズ色の宅内地下プールの傍らで、ジェイクは父と弟の隣に立っている。分厚く大きな白いベーコンの脂が燃え盛る黒い炭の中に落ちる匂いを嗅ぐ。父の横から手を伸ばし、一塊を手に取り喰らいつく。父は笑みを浮かべ、まるで初めて食料を見たようだと言う。

大量の脂が頭を流れ落ちると共に、ジェイクは眼を見開く。突如父と弟を押しやると、グリルへと駆け寄り、命の源であるベトベトな脂とプロテインを口に押し込んでいく。父はそれを止めようとするが、ジェイクは止められない。すると突然、肉が生きた野生の猪へと変身した。猪はジェイクの方へ向き直るとウィンクする。

ジェイクは驚きで飛び退け、プールへと転落する。

プールは落とし罠へと姿を変え、複数の棘がジェイクの胸を突き抜けた。ジェイ・クは苦痛に叫び、目を覚ます。太く尖った枝が外側に突き出した、小さな穴の中にいた。

汗を唱から拭い取り、ゆっくりと立ち上がる。落とし罠から追い出し、洞穴の間の中をしばらく覗き込む。すると、母の心安らぐ声が聞こえた。

ジェイク...お願い....手紙を書き終えて彼に送ってあげて。

なぜ?意味がないのに?あいつの父親の手紙と同じように、屋根裏の靴箱に隠されるだけさ。

それは間違いよ。あの財布の中の写真のように大事にされるわ。

あんなのただの馬鹿げた写真じゃないか!

彼にとってはそうじゃないのよ。

【王国の追放】記憶887

もう待ちくたびれた!


ジェイクはいくつか枝を拾うと、それに火を点けて暗く大きな洞穴の口へと放り込んだ。闇が大きな炎と渦巻く大量の煙に満たされるのを見つめる。そして避けられぬ瞬間を待つ。濃くなっていく煙を見つめていると、ある物語を思い出し、思考が祖父のことへと流れていく。

多くの引き裂かれた家族を再会させた。沢山の人を危険、疲労、飢餓から救った。人々を救いながらも...彼自身を救うことはできなかった。

煙を見たという証言もあった...突然彼を取り囲んだ、分厚い黒い煙。そこにいたはずの彼が次の瞬間には...消えていた。ソウルでジェイクが出会った生存者が語るには、恐らく捕らえられて処刑されたのだろうが確証はないとのことだった。

甲高い鳴き声の後の重いドサッという音が突如ジェイクを現実へと引き戻した。猪が逃げ出そうとすることにも気づいていなかった。落とし罠を覗き込み、身体を貫かれた猪が痙攣し、傷からその命が零れ落ちる様子を眺めた。

ジェイクはため息をつき、安堵と後悔が混ざった感情に襲われる。ごめんな...どちらかが生き残るしかなかったんだ。

 

【王国の追放】記憶888

ジェイクは焦げた肉の一片を飲み込み、チラつく火の向こうにある内蔵を抜かれ、た猪を見つめた。後は肉を塩漬けにするだけだ。仕留めるのに丸一日かかったが、その価値は確実にあった。数か月は食料に困らないほどの肉だ。血まみれの切り刻まれた猪が突如ジェイクの方へ向き直る。でも本当に仕留めたわけじゃない、そうだろう?ジェイクは瞬きする。もう一度瞬きする。随分長いこと追いかけたからわざと捕まってやったというのが真実さ。ジェイクは信じられないといった様子で頭を振る。食事を摂ったというのにまだ頭が混乱しているということは分かっている。猪は悲しげにため息をつく。俺もお前も、ジェイク、同じ悪質な輪廻に囚われているんだ。だから気を悪くするなよ?今日は俺だ。明日はお前の番だ。

ジェイクは自分を抓るが、猪は話すのをやめない。十分な時間追い回せば、そいつは身を差し出してくれる。道を踏み外さない限り、逃げるのをやめて捕まって、くれる。あの国でお前が追い求めた物語と同じさ。ジェイクはニヤつく猪を目を細めて睨みつける。お前は祖父の幻影を追いかけてこの血の山へと辿り着いたのさ。お前はあの二人であって、同時にあの二人ではないにも拘らず、父親のことを否定しようとしているのさ。

ジェイクは頭を振り、幻覚を追い出そうとする。心配するな、ジェイク、本当に喋っているわけじゃない...お前は疲れていて水分不足なんだ・・・そして森の中で完全に迷っている。お前にいくつか視点を与えてやってるだけさ。それとも...自分で視点を求めているのかもしれないな。

ジェイクは深くため息をつく。自分が何者で何をしたいかなんて分からない。どこかも分からない場所で死んだ猪と会話しているんだ。猪は頷く。その通りだ。面白い話だよな。お前の祖父は貧しくほとんど自分で道を選ぶことができなかったと言うのに、お前はそこまで貧しくなく選べる道が多くある...どっちの方が悪いかなんてわからないさ...少なすぎる過酷さか、多すぎる過酷さ…どちらにしろ...考えのまとまらない人生は無駄な人生だ…

考えをまとめようとしてここに来たことは良い事さ。そしてもう一つ良い事を教えてやるよ。自分を解き放つんだ...解き放てばいいんだ…

解き放ったさ。それでも前と変わらずに迷っている。

猪は鼻を鳴らす。解き放っていないのさ、ジェイク。お前は壊れたレコードのように古い台本を繰り返してるだけさ。だが、そうだな...お前は物語を追うことが、好きだったな・・特に秘密にされたものを...いつも独り言を言っているし...孤独を好んでいる...お前は作家に向いているのかもな、ジェイク。もしくは歴史学者か。

ジェイクは声を出して笑う。冗談だろう!歴史は大嫌いだ。高校での英語は全部落第だ。文法は馬鹿げていると思うし、教師はつまらないやつばかりだった。

「お前や影響力のある他の作家も同じだけどな。英語ができるからって作家になれ」るわけじゃないのさ、ジェイク...戦闘やダンスができる奴が作家になれるのさ。

何を言っているのかさっぱりわからない!

根性と品位が必要だってことさ。成績や証書じゃない。勇気が必要なのさ。ダンスフロアで相手をリードしたり、リングに踏み込んだりすることができない臆病者達の評価なんて必要ない。お前の国にはお前のような物語がもっと必要なんだ。なぜなら、認めようぜ、ジェイク。お前の物語がメインストーリーじゃないなら...歴史書の注釈に過ぎないのであれば・・存在しない方がいいだろう?

お前は祖父とは違うのさ、ジェイク。父親とも違う。どの世代にも困難はある。迫害。戦争。別離。お前の世代の困難は...表現なのかもしれない。作家であろうが、歴史学者であろうが、映画製作者であろうが、プロデューサーであろうが。お前の物語を世に出さないといけないんだ。新たな国の多くの子供達はお前の物語、もしくはそれに似通った物語を必要としている。彼らだけじゃない、孤独じゃないって知らせてやるんだ。社会の一員である、故郷で孤立してるわけじゃないって理解させてやるのさ。

遠吠えの合唱がジェイクを現実へと引き戻す。狼だ!俺の食料を奪おうとしている!また遠吠えが聞こえる、そしてそれに覆いかぶさるように父の声が聞こえる。どんな物事にもな、ジェイク、狼がいるものさ。

この物語にはいさせない。

特にこの物語にはな。

ジェイクは頭の中に響く声を無視し、慎重に次の行動を決めるために精神を集中させようとした。

【王国の追放】記憶889

ジェイクは高い木の枝の上に座り、猪は紐でつるしている。紐を強く握りしめ、支えとなっている枝が折れないことを祈る。またもや遠吠えが世闇を切り裂くと、虫の鳴き声が静寂へと変わる。狼達がやってくる。ジェイクが正当に手に入れたものを狙っているのだ。食事を摂ることができたことを有難く思い、新たな」生命力が血管を巡っているのを感じる。集中が研ぎ澄まされていくのを実感するが、それでも母の声が聞こえるのだ。
まだそれができる間に手紙を書き終えるべきだったのよ。

また今度書き終えるさ。

”また今度があるならね…ジェイク…”

あるさ。
もしここで死んでしまったら?行方不明になってしまったら?父さんはあなたを見つけるためだけにあらゆる犠牲を払うわ。

まさか。あいつは自分の会社のことしか考えてないのさ。

本当にそう考えているのなら父さんのことをちっとも理解していないわ...なぜあの写真を大切に持ち歩いているのかもね。

ジェイクは笑い飛ばす。あんな写真に意味なんてない!占い師でさえその意味が、分からなかったんだ。

でも父さんには意味があるものなのよ、ジェイク。父さんのすべてなのよ。あな」たは父さんが自分を理解してくれないと責めるけど...あなたは父さんを理解しようとしたことがあるの?

複数の狼が木の傍へと忍び寄り、輝く満月が映り込んだ目でジェイクを見上げる。ジェイクは声を振り払い、目の前の危機に集中しようとする。しかし声は――家族の声は――鳴りやもうとしない。

一つ父さんについて教えてあげるわ、ジェイク....すべてのお金と引き換えに一度でもお祖父さんに会えるとしたら、父さんはそうするわ。そして…あなたが素直になれずに立ち去ってしまったのなら...あなたを見つけるために何でも犠牲にするわ。あなたの家族の誰もがそうするわ。

素直になって、ジェイク。そうすれば狼もいなくなるから。

 

【王国の追放】記憶890

狼達は唸りながら飛びつき、吊り下げられた死骸の肉片を噛み千切る。ジェイクは片方の手で紐を固く握りしめ、もう片方の手で枝を振り回し狼達を追い払おうとする。ジェイクは疲れ果て、どうしていいのかが分からない。自分が激しい雨に打ち付けられたダニのように感じる・・・心も・・・体も・・・ボロボロだ・・狩りの疲れ、や、狼たちがその原因ではない。頭の中を、警戒している蜂達の巣のように激し、く渦巻いている思考や感情が原因だ。

狼達は、ミシミシと笑い声にも聞こえるような音を立てる木の周りをグルグルと這い回る。一体なぜこんな状況に?どこかも分からない場所で、木の上から狼と」戦っているなんて!どうやって地面に降りればいいんだ?下の騒音の中から弟の声が聞こえる。

迷子で孤独になるとやってしまう馬鹿げたこと。そうだろう、兄さん?

ジェイクは喉に溜まった唾液をゴクリと飲み込むと、何年も認めることを否定ししていた真実を認めた。お前はいつだって俺のことをお見通しのようだ。今はどん」なにお前に会いたいことか。でもお前が正しいよ...俺は迷子で孤独だ...そして自分が誰なのか、自分の人生をどうしたいのかさっぱり分からない…そしてあの占い師は正しかった...何を選べばいいのか分からなかったんだ...だから何も選ばなかった。

また母の声が聞こえる。いいえ、ジェイク。間違っていたわ。あなたは選んだのよ。

ジェイクは震える息を深く吸い込んで目を閉じ、母が何度も語っていた1歳の誕生日のことを思い出す。

初めての赤と青の韓服に身を包み、白い毛布の上に座っている。様々な品が周り、におかれている。ペン。米。絵具。インク。筆。お金。親戚達が大袈裟な赤ちゃん言葉で何かを選ぶように促す。

占い師は皆に静かにするように伝え、ジェイクが最初に手に取った品が彼の人生の糧となると言う。ジェイクは品々の方へと這う...ペンは手に取らず...米もケーキに手に取らず...インクも筆も通り過ぎる...何も彼の興味を引く様子はない。しかし

何かを目にした。興奮とともに彼の目が見開かれる。そしてそれに向かって一気に這って行く--

お金だ!

親族が上げる大声!叫び!赤ちゃん言葉でお金を手にするように喋し立てる!しかし一一

ジェイクはお金を掴まない。見向きもしない。お金の横を通り過ぎ、皆を驚かせる。彼が目指すものはただ一つ。跪いて祈っている男の元でようやく止まる。1歳1のジェイクは父のことを見上げ、笑顔とともにその指を掴む。父はジェイクに微て笑みかけ、母はその写真を撮る――

あの写真だ。

ジェイクが目を開けると、狼達の噛みつく音や唸り声を覆うような母の声が聞こえる。占い師はこれをどう解釈したらいいのか分からなかったわ。品が正しく配置されていなかったと言ったの。あなたは何も選ばなかったと。でも私達は占い師が間違っていることを理解していたと思うわ。

俺には分からない...

もう何年も経っているわ、ジェイク。手紙を書き終えるのよ。お祖父さんのことを父さんに教えてあげて。そして家に帰ってくるのよ。

何を書けば...何を言えばいいのか分からない...

分かるようになるわ。ただ父さんはあなたがしたことに敬意を払っているということは理解して。なぜなら父さんは分かっているから…

あなたが家族を選んだということを。

あなたはずっと家族を選んできた。そしてこれからもそう。だからあなたが成すべきことをするって信じているわ。帰ってきて…父さんの物語を完成させるのよ。

想像の言葉が稲妻のようにジェイクの心を打つ。突如舞い降りた理解に目が見開く。そして人生で初めてその疑問が湧き上がる父がいなかったらどう育っていたのだろうか。父がくれたものがすべてなかったとしたら。当たり前だと思っていたことがなかったとしたら…

ハイキング。釣り。狩り。キャンプ。月明かりに照らされたテントでの楽しくも激しい囲碁戦。うわべだけの虚偽だけではなかった。良いこともあった。沢山の良いことが。

ジェイクは酷く矛盾していた。

誰だってそうだ。

誰だってそうなんだよな。

ジェイクは紐を握りしめた拳を緩めると、下で狂乱する狼達を見つめる。そして、人生で初めてどうすればいいのかをはっきりと理解していた。


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